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前回は、複雑な場合の数を樹形図を使って数える方法を紹介しました。
今回は、場合の数を簡単に求められる公式について解説します。
順列とは?
今回紹介する公式は、順列の場合の数を簡単に計算するものです。
順列とは、いくつかあるモノの中から数個のモノを選んで順番に並べた1つの列のことです。
前回解いた、カードを並べて数字を作る練習問題も、4つあるカードの中からいくつかカードを選ぶ順列だったのです。
順列は計算方法が決まっている
前回の練習問題をもう一度みてみましょう。
練習問題1
上の4枚のカードから2枚選んで、2桁の数字を作りたい。全部で何通りの数字を作ることができるか?
練習問題2
上の4枚のカードから3枚選んで、3桁の数字を作りたい。全部で何通りの数字を作ることができるか?
練習問題3
上の4枚のカードすべてを使って4桁の数字を作りたい。全部で何通りの数字を作ることができるか?
これらの問題の考え方は全て共通しています。
- まず4つのカードから一番大きい桁にする数字のカードを選ぶ
- 残りの3つのカードから次に大きい桁にする数字のカードを選ぶ(練習問題1はここまで)
- 残りの2つのカードから次に大きい桁にする数字のカードを選ぶ(練習問題2はここまで)
- 残りのカードは1枚だけなのでこれを選ぶ(練習問題3)
この考え方を計算式で解くと、以下のようになります。
練習問題1
4 × 3 = 12(通り)
練習問題2
4 × 3 × 2 = 24(通り)
練習問題3
4 × 3 × 2 × 1 = 24(通り)
同じように考えると、カードの枚数が多くなっても同じ考え方で場合の数を調べられます。
例えば、1〜5の数字が書かれた5枚のカードから3枚を選んで並べ、3桁の数字を作る場合は以下のように計算できます。
5 × 4 × 3 = 60(通り)
つまり、5個のもの中から3個のものを選んで並べる場合の数は、5から1ずつ引いていった数を3回(選ぶ数だけ)かければ求められると言えます。
これを一般化すると、n個のもの中からr個のものを選んで並べる場合の数は、以下のように計算できると言えます。
(ただし n は2以上の整数、r は1以上かつn以下の整数です)
[n個のもの中からr個のものを選んで並べる場合の数] = n × (n – 1) × … × (n – r + 1)
具体的に n = 5, r = 3 として上の式にあてはめてみると、(n – r + 1) = (5 – 3 + 1) = (5 – 2) なので、(5 – 2) が現れるまで1ずつ引いてかけます。
[5個のもの中から3個のものを選んで並べる場合の数] = 5 × (5 – 1) × (5 – 2) = 5 × 4 × 3 = 60(通り)
同じように、5個のもの中から3個のものを選んで並べる場合の数は、n = 6, r = 5 とすれば、(n – r + 1) = (6 – 5 + 1) = (6 – 4) なので、(6 – 4) が現れるまで1ずつ引いて掛けていけば求められます。
6 × (6 – 1) × (6 – 2) × (6 – 3) × (6 – 4) = 6 × 5 × 4 × 3 × 2 = 720(通り)
しかし、毎回 n × (n – 1) × … × (n – r + 1) と書くのは大変なので、これを表す簡単な書き方があります。それが、順列の公式と呼ばれる以下のものです。
$$_nP_r = n × (n – 1) × … × (n – r + 1)$$
順列のことを英語で Permutation(パーミュテーション)と呼ぶので、その頭文字のPを使っています。
この公式で、n個のもの中からr個のものを選んで並べる場合の数を求めることができます。
練習問題1
ボールが8つある。それぞれに赤、青、緑、黄、紫、橙、白、黒の色が付いている。これら全てを一列に並べる方法は何通り?
この問題は「8つのものから8つ選んで並べる順列」ですね。
従って順列の公式を利用して以下のように求められます。
$$_8P_8 = 8 × 7 × 6 × 5 × 4 × 3 × 2 × 1 = 40320(通り)$$
よって答えば40320通りとわかります。
数が多くなければ頭の中で数えてもいいのですが、このように複雑になったときは、樹形図や順列の公式を使うと早く正確に場合の数を調べられます。