場合の数と組み合わせ

2016年8月3日(更新: 2016年10月9日)

前回は階乗について解説しました。階乗の計算はこれからも頻繁に登場するので頭に入れておいてください。

今回は組み合わせの計算について解説します。

次のような場合の数を求める問題を考えてみましょう。

4つの色のついたボール(赤、青、黄、緑)の中から2つを選びたい。考えられるボールの組み合わせ方は何通か?

さて、どのように考えると良いでしょうか。

前に学んだ順列の公式が使えるでしょうか? つまり、「4個の物の中から2つを選んで並べる」と考えてみるのです。

こう考えた場合、この問題の答えは…

$$_4P_2 = 4 \times 3 = 12(通り)$$

となります。これは本当に正しいのでしょうか。

先にネタばらしをしてしまうと、これは正しくありません。なぜなら、順列の公式は一列に並べるときの場合の数、つまり順番が関係あるときの場合の数を求めるときの計算をするための公式だからです。

この12通りの中には、次の2つが別の選び方として数えられてしまっています

()と()

並び方が関係ある場合は、これらは確かに別のものです。しかし、今回の問題は「組み合わせ方」が問われています。選んだ2つのボールが何と何であるかが重要であり、その並び順がどうであるかは関係ありません。

従って、今回の問題で上の2通りは同じものと見なさなければなりません。

そう考えると、順列として考えた時は別のパターンと見なされる以下のものも、同じ1つの組み合わせとして考えなければならないことがわかります。

()と()

()と()

()と()

()と()

()と()

以上のことから、同じものが余計に2度数えられていることがわかりました。

したがってこの問題の本当の答えは…

$$\frac{_4P_2}{2} =\frac{4 \times 3}{2} = 6(通り)$$

でした。つまり、順列の公式で求めた「選んだ2つのボールの並べ方」から、二重に数えられていたものを取り除いた数が答えです。

それでは、次の問題はどうでしょうか。

4つの色のついたボール(赤、青、黄、緑)の中から3つを選びたい。考えられるボールの組み合わせ方は何通か?

これは式を使わなくても考えられます。4つの中から3つを選ぶということは、4つの中から1つだけ取り除くとも考えられます。1つを取り除いて残った3つを組みとすればいいですね。

そうすると、組み合わせは以下の4通りだけであることがわかります。




もし4つのボールの中から3つを選ぶときの並べ方を考慮するのであれば、以下の式で求められます。

$$_4P_3 = 4 \times 3 \times 2 = 24(通り)$$

さて、並べ方を考えているため、以下の6つは別のパターンとしてカウントされています。

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つまり、組み合わせで考えれば1つと見なせるものが、順番を考えたときは6つのパターンとして数えられるわけです。したがって順列の公式を使う場合は、この問題は以下のように解けます。

$$\frac{_4P_3}{6} =\frac{4 \times 3}{6} =\frac{24}{6} = 4(通り)$$

組み合わせとは

組み合わせとは、その名の通り、複数あるモノの中からいくつかを選ぶときに、何通りの組み合わせ方があるかということです。

順列との違いですが、これまで見てきたように、組み合わせの場合は選ぶ順番を考えません。

組み合わせも、簡単に求めるための公式があります。実は4つボールの中から3つを選ぶ解説の中で登場しています。

$$\frac{_4P_3}{6} =\frac{4 \times 3}{6} =\frac{24}{6} = 4(通り)$$

これを一般化すると…

$$[n個からr個選んで組み合わせるパターン] = \frac{_nP_r}{rPr} = \frac{_nP_r}{r!}$$

前回解説したように \(rPr = r!\) とできますね。今まで解説した組み合わせの問題をこれに当てはめてみましょう。

4つの色のついたボール(赤、青、黄、緑)の中から2つを選びたい。考えられるボールの組み合わせ方は何通か?

答えを見る

n = 4, r = 2 の場合ですので、

$$\frac{_4P_2}{_2P_2} = \frac{_4P_2}{2!} = \frac{4 \times 3}{2 \times 1} = 6(通り)$$

4つの色のついたボール(赤、青、黄、緑)の中から3つを選びたい。考えられるボールの組み合わせ方は何通か?

答えを見る

n = 4, r = 3 の場合ですので、

$$\frac{_4P_3}{_3P_3} = \frac{_4P_3}{3!} = \frac{4 \times 3 \times 2}{3 \times 2 \times 1} = 4(通り)$$

さらに、これを簡単に表すために、組み合わせの公式はConbination(コンビネーション)の頭文字のCを使って以下のように定義されています。

$$_nC_r = \frac{_nP_r}{rPr} = \frac{_nP_r}{r!}$$

数学の教科書で登場するCを使った組み合わせの公式は、一列に並べたときに重複したものを除くという考え方から生み出されていたのです。

最後に組み合わせの練習問題を1つ解いてみましょう。

練習問題

10個のプレゼントがある。これらの中から4つを選んで1つの箱に包みたい。プレゼントの組み合わせは何通か?

答えを見る

10個の中から4つを選ぶ組み合わせです。

n = 10, r = 4 の場合ですので、

$$_{10}C_4 = \frac{_{10}P_4}{4!} = \frac{10 \times 9 \times 8 \times 7}{4 \times 3 \times 2 \times 1} = 210(通り)$$

数が多くなっても、組み合わせの公式に当てはめれば簡単に場合の数を求められます。

次回は複雑な場合の数について解説します。

場合の数と組み合わせ」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: トランプで考える確率の問題 | JoyPlotドキュメント

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