場合の数と順列の公式

2016年8月2日(更新: 2016年10月9日)

前回は、複雑な場合の数を樹形図を使って数える方法を紹介しました。

今回は、場合の数を簡単に求められる公式について解説します。

順列とは?

今回紹介する公式は、順列の場合の数を簡単に計算するものです。

順列とは、いくつかあるモノの中から数個のモノを選んで順番に並べた1つの列のことです。

前回解いた、カードを並べて数字を作る練習問題も、4つあるカードの中からいくつかカードを選ぶ順列だったのです。

順列は計算方法が決まっている

前回の練習問題をもう一度みてみましょう。

カードを使った場合の数

練習問題1

上の4枚のカードから2枚選んで、2桁の数字を作りたい。全部で何通りの数字を作ることができるか?

練習問題2

上の4枚のカードから3枚選んで、3桁の数字を作りたい。全部で何通りの数字を作ることができるか?

練習問題3

上の4枚のカードすべてを使って4桁の数字を作りたい。全部で何通りの数字を作ることができるか?

これらの問題の考え方は全て共通しています。

  1. まず4つのカードから一番大きい桁にする数字のカードを選ぶ
  2. 残りの3つのカードから次に大きい桁にする数字のカードを選ぶ(練習問題1はここまで)
  3. 残りの2つのカードから次に大きい桁にする数字のカードを選ぶ(練習問題2はここまで)
  4. 残りのカードは1枚だけなのでこれを選ぶ(練習問題3)

この考え方を計算式で解くと、以下のようになります。

練習問題1

4 × 3 = 12(通り)

練習問題2

4 × 3 × 2 = 24(通り)

練習問題3

4 × 3 × 2 × 1 = 24(通り)

同じように考えると、カードの枚数が多くなっても同じ考え方で場合の数を調べられます。

例えば、1〜5の数字が書かれた5枚のカードから3枚を選んで並べ、3桁の数字を作る場合は以下のように計算できます。

5 × 4 × 3 = 60(通り)

つまり、5個のもの中から3個のものを選んで並べる場合の数は、5から1ずつ引いていった数を3回(選ぶ数だけ)かければ求められると言えます。

これを一般化すると、n個のもの中からr個のものを選んで並べる場合の数は、以下のように計算できると言えます。

(ただし n は2以上の整数、r は1以上かつn以下の整数です)

[n個のもの中からr個のものを選んで並べる場合の数] = n × (n – 1) × … × (n – r + 1)

具体的に n = 5, r = 3 として上の式にあてはめてみると、(n – r + 1) = (5 – 3 + 1) = (5 – 2) なので、(5 – 2) が現れるまで1ずつ引いてかけます。

[5個のもの中から3個のものを選んで並べる場合の数] = 5 × (5 – 1) × (5 – 2) = 5 × 4 × 3 = 60(通り)

同じように、5個のもの中から3個のものを選んで並べる場合の数は、n = 6, r = 5 とすれば、(n – r + 1) = (6 – 5 + 1) = (6 – 4) なので、(6 – 4) が現れるまで1ずつ引いて掛けていけば求められます。

6 × (6 – 1) × (6 – 2) × (6 – 3) × (6 – 4) = 6 × 5 × 4 × 3 × 2 = 720(通り)

しかし、毎回 n × (n – 1) × … × (n – r + 1) と書くのは大変なので、これを表す簡単な書き方があります。それが、順列の公式と呼ばれる以下のものです。

$$_nP_r = n × (n – 1) × … × (n – r + 1)$$

順列のことを英語で Permutationパーミュテーション)と呼ぶので、その頭文字のPを使っています。

この公式で、n個のもの中からr個のものを選んで並べる場合の数を求めることができます。

練習問題1

ボールが8つある。それぞれに赤、青、緑、黄、紫、橙、白、黒の色が付いている。これら全てを一列に並べる方法は何通り?

答えを見る

この問題は「8つのものから8つ選んで並べる順列」ですね。

従って順列の公式を利用して以下のように求められます。

$$_8P_8 = 8 × 7 × 6 × 5 × 4 × 3 × 2 × 1 = 40320(通り)$$

よって答えば40320通りとわかります。

数が多くなければ頭の中で数えてもいいのですが、このように複雑になったときは、樹形図や順列の公式を使うと早く正確に場合の数を調べられます。

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