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物質の状態には、固体、液体、気体、プラズマの4つが存在すると言われています。
今回はプラズマについて、その概要を紹介します。
プラズマとは
気体の温度を上げると、気体を構成する分子は原子に分離し、原子が原子核と電子に分かれます。
この現象を電離と呼びます。
電離によって分かれた原子核(プラスに荷電した粒子)と電子(マイナスに荷電した粒子)を含む、高いエネルギー状態のことをプラズマと呼びます。
プラズマ中の電子の電荷と原子核(に含まれる陽イオン)の電荷は等しく、全体的には電気的に中性となっています。
水(H2O)は、零℃以下では個体の氷であるが、零℃から100℃の間は液体の状態で、100℃を越すと大気(ガス)の水蒸気になる.
このように物質は温度変化によってその状態を変化させるが,さらに水蒸気を加熱すればH2O分子が解離・電離してガス中にイオンや電子といった電気を帯びた粒子が発生し,絶縁体が導電体に変わる.
電気を流すガスは固体,液体,気体とは異なった性質を示すことから,第四の状態であると言われている.
この状態をプラズマと呼び,プラズマでは電子の数とイオンの数が等しくなり,全体的には電気的に中性になる.
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1万度に達する高温のプラズマでは,プラズマを構成する電子,イオン,中性粒子(原子や分子)が熱運動を行いながら相互に衝突を繰り返し,その運動量やエネルギーを交換している.
アーク及びティグ溶接
プラズマは状態であり、気体とは区別します。最も高いエネルギーを持つ物質の状態と言えます。
とは言え、一言でプラズマといっても、そのエネルギーの大小は様々で、温度で言えば3000℃〜10億℃と幅があります。
プラズマという名前をつけたのは、アメリカの化学・物理学者であるアーヴィング・ラングミュアです。
プラズマが物理学に登場したのは1928年のことである。希薄気体放電管の陽光柱の部分をラングミューアがプラズマと呼んだ。
プラズマという言葉はその後、物理学において広く使われるようになった。やがてプラズマが広い分野で重要な意義を持つことからが明らかになり、新しい研究分野として注目を浴びるようになった。
九州大学 大学院工学研究院 化学工学部門 渡辺隆行 第1章 プラズマの定義と特徴
オーロラや雷、太陽、宇宙空間はプラズマの状態となっている部分が存在します。
蛍光灯もプラズマの一つです。
宇宙全体で考えてみると、物質の99.9%以上はプラズマ状態である。
例えば太陽は巨大なプラズマの固まりである。宇宙では地球のような冷たい固体のほうがまれである。
ただし地球上ではプラズマ状態の物質はほとんどない。しかし人類にとって自然界におけるプラズマはオーロラや稲妻としてとても身近なものと考えることができる。
我々にとってさらに身近なプラズマとしては、蛍光灯やネオンランプがある。
九州大学 大学院工学研究院 化学工学部門 渡辺隆行 第1章 プラズマの定義と特徴
プラズマの利用
工業的な利用にはアーク放電を利用したプラズマ溶接(プラズマアーク溶接)や半導体の製造などがあります。
プラズマの電離状態によって用途が異なります。
プラズマはその種類に応じて、半導体や核融合といった産業に応用されている。
大部分が中性粒子でその一部が電離している「弱電離プラズマ」は半導体技術に、全部が正イオンと電子に別れている「完全電離プラズマ」は核融合の研究に用いられる。
理工学図書館パスファインダー プラズマ応用工学
アーク放電は気体放電の一種であり、その時のガスの状態は最大約17000℃のプラズマとなっています。
アーク放電によって発生したプラズマをアークプラズマと呼びます。プラズマとする原子には主に希ガス(ヘリウムやアルゴン)が利用されます。
ちなみにヘリウムが電離のための必要とするエネルギーはアルゴンの1.5倍以上であり、ヘリウムはアルゴンよりもイオンになりにくいとされます。