等差数列の和とその公式

2016年10月10日(更新: 2016年10月26日)

前回は等差数列とその一般項について解説しました。

今回は、等差数列のすべての項の和を求める方法と、その公式について解説します。

等差数列の和

例えば、初項 2、公差 7、末項 72 の数列があるとします。

$$2, 9, 16, \cdots , 58, 65, 72\tag{1}$$

この数列に含まれる項をすべて足した数を知りたいとき、地道に数えることもできますが、結構大変です。

そこで、数列の特徴を使って簡単に計算できないか考えてみます。等差数列をよく見てみると、項数が $l$ である数列では、以下の法則が成り立つことがわかります。

(このとき、末項は $a_l$ と書けます)

$$a_1 + a_l = a_2 + a_{l-1} = a_3 + a_{l-2} = \cdots$$

つまり、初項と末項の和は、第2項と末項の一つ前の項を足した数値を同じであり、同様に第3項と末項の2つ前の項を足した数値も同じです。これが項の数だけ成り立ちます。

実際に上の数列(1)で確かめてみると、この数列の項数は 10 ですので、$l = 10$ として考えることができます。

$$a_1 + a_{10} = 2 + 72 = 74$$

$$a_2 + a_9 = 9 + 65 = 74$$

$$a_3 + a_8 = 16 + 58 = 74$$

$$\cdots$$

したがって、このようにすべての項を足していけば、数列の和は以下のように計算できます。

$$74 + 74 + 74 + 74 + 74 = 370$$

このとき、2つの項を足して1つにするため、項の数は半分になっていることに注意してください。

等差数列の和の公式

前述の事実を一般化すると、以下の公式が導き出せます。

初項 $a_1$、公差 $d$、末項 $a_l$、項数 $n$ の等差数列の和を $S_n$ とすると、以下の公式が成り立つ。

$$S_n = \frac{1}{2}n(a_1 + a_l)\tag{☆}$$

前述の通り、項数が半分になるため $\frac{1}{2}$ をかけています。

この公式(☆)を使って、等差数列の和を求める以下の練習問題を解いてみましょう。

練習問題1

初項 30、公差 -8、項数 16 の等差数列の和 $S_n$ はいくらか?

答え

末項 $a_l$ の値は、前回説明した等差数列の一般項の式から、

$$a_l = a_1 + (n – 1)d = 30 + (16 – 1) \times -8 = 30 – 120 = -90$$

公式(☆)に、この結果と問題文の値を代入すると、

$$S_n = \frac{1}{2} \times 16 \times (30 – 90) = -480$$

等差数列の部分和の公式

公式(☆)は、数列の最初から最後までの項の和を求める公式でした。

しかし、場合によっては数列の一部分だけ(初項から第n項までなど)の和を求めたいことがあります。

このための公式は、公式(☆)を変形することで求めることができます。もう一度公式(☆)を見てみましょう。

$$S_n = \frac{1}{2}n(a_1 + a_l)\tag{☆}$$

ここで、末項 $a_l$ は、以下のように書けます。

$$a_l = a_1 + (n – 1)d$$

なので、これを式(☆)に代入します。

$$S_n = \frac{1}{2}n\{a_1 + a_1 + (n – 1)d\}$$

$$S_n = \frac{1}{2}n\{2a_1 + (n – 1)d\}\tag{□}$$

これで、等差数列の部分和を求める公式(□)が導き出せました。

これを使って、以下の練習問題を解いてみましょう。

練習問題2

以下の数列の初項から第12項までの和はいくらか?

$$-15, -7, 1, 9, 17, \cdots $$

答え

この数列の公差 $d$ は 8 です。したがって、式(□)より、

$$S_n = \frac{1}{2} \times 12 \times \{2 \times -15 + (12 – 1) \times 8\}$$

$$S_n = 6 \times (-30 + 88) = 6 \times 58 = 348$$

以上、等差数列の和を求めるための考え方と公式についてでした。次回は等差数列の練習問題とその解説です。

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