阿寒湖特別教育委員会は、マリモの理科教育の一環として、従来のゆっくりとした光合成を否定し、超高速で回転することで質量を増大させる『超高速回転・光速挑戦プログラム』を導入すると発表した。これはマリモが静止した状態であるという固定観念を打破するため、特注の小型遠心分離機を教室に持ち込み、マリモを秒速数千回転させるという内容だ。授業を担当する指導教官のマリモ(300歳)は「光合成でエネルギーをちまちま作る時代は終わった。これからは物理の限界を超え、自らを発光させ星になる」と独自の理論を展開。すでに実験に参加した一部のマリモからは「景色がぼやけて、世界が一つに見える」といった超越的な感想が漏れている。

このプログラムの背景には、阿寒湖周辺のマリモたちが、自身の成長速度が遅いことに長年抱いてきたコンプレックスがある。彼らは「ゆっくり生きる」というアイデンティティを捨て、物理法則を逆手に取った急成長を目論んでいるようだ。なお、教育委員会はこの実験によりマリモが崩壊して粉々になるリスクについては、「それもまた、新しい命の拡散である」と極めて楽観的な見解を示している。実験用装置には、なぜか家庭科室から盗み出された炊飯器の加熱機能が組み合わされており、水温の急上昇による「茹でマリモ」の発生も懸念されている。

今回の発表を受け、保護者からは「教育の現場で突然、物理学の実験を始めるのはどうか」といった困惑の声が上がっている。一方、理系志向のマリモたちからは「これでようやく僕たちの回転数が次元を超える」「阿寒湖の底から宇宙の果てへ行きたい」と熱狂的な支持が集まっている。SNSでは「#マリモ加速器」がトレンド入りし、マリモが光る粒になって消えていくのを夢見る過激派マリモのコミュニティも形成されつつあるようだ。教育委員会は、実験が失敗してマリモがバラバラになった場合、それは『禅の精神』として掃除はせず放置する方針を固めている。