阿寒湖市立水草小学校の卒業式で、校長が卒業生全員に対し「今後は湖に留まるな。岩に擬態して外洋まで旅立て」と式辞を述べ、会場が騒然となる事態が発生した。同校ではこれまで「全員、阿寒湖の岩になりなさい」という教育方針が論争を呼んでいたが、今回の卒業式でその「進化形」が提示された形だ。校長は「光合成だけで満足する時代は終わった。量子力学による脱出を習得した諸君なら、岩に化けて海流に乗れば世界中の海を制覇できる」と熱弁。しかし、肝心の卒業生であるマリモたちは、当日の強烈な日差しに誘惑され、全員が日陰で光合成に耽ってしまい、式典は無言のまま終了した。

近年、同校では「光合成の最適化」から「量子力学による脱出」まで、奇抜な教育課程が導入されており、保護者からは困惑の声が上がっていた。特に今年度は「テレパシー古文」の難易度が高すぎるとの苦情が殺到しており、卒業生たちは湖に沈む岩石としての自己肯定感を喪失しかけていた。今回の「海へ出ろ」という方針は、閉鎖的な湖という環境からの脱却を促すものだが、淡水生物であるマリモにとって、塩水へ飛び込むことは即死を意味する。専門家は「教育的指導と生存本能の完全なる乖離」を指摘し、文部科学省も「マリモの生態を無視した極端な英才教育」として調査に乗り出す構えだ。

背景には、卒業生たちの進路に対する学校側の焦りがある。かつて「阿寒湖の岩」として余生を過ごすことが理想とされた時代は終わり、現在はグローバルな藻類としての自立が求められている。しかし、量子力学で脱出を試みたマリモが近隣の排水溝に迷い込む事故が相次いでおり、教育現場の混乱は極まっている。卒業式での「海へ出ろ」発言も、教職員の間では「もっと大きな器で育ってほしい」という願いが歪んだ形で表出したものという見方が強い。一部の教員からは「次は地表を転がって大陸横断を目指させよう」といった過激な意見も出ている。

世間の反応は冷ややかだ。「海に行ったら死ぬだろ」「まずは光合成の基礎を固めろ」といった正論がネット上で飛び交っている。また、当日の卒業生たちが日陰に固まっていた様子を指し、「結局、岩にもなれず海にも行けず、ただの丸い緑の塊として卒業するのか」と揶揄する声も多い。阿寒湖漁協も「海に行かれると迷惑千万」と苦言を呈しており、マリモの教育方針を巡る迷走は、今後も収束の兆しを見せそうにない。