阿寒湖教育委員会が先月発表した、物理現象を単位認定する異端のカリキュラム「重力との対話」。本来は地表の泥に沈んで己を研磨する慎ましきマリモ教育が、今やブラックホール召喚という破壊活動へ変貌を遂げている。単位取得のために極小の時空歪曲を引き起こし、湖底をワープポイントと勘違いする若年マリモが急増中だ。この安易な教育方針は、古参の藻類学者らから「マリモ本来の尊厳である『何もしない贅沢』を忘れ去る暴挙」と痛烈に批判されている。

かつてのマリモ教育は、ひたすら丸く、ただそこに存在するだけで「全科目満点」という牧歌的で奥深いものであった。しかし、効率化を求めるあまり、物理法則を操作して最短距離で浮遊しようとする今のカリキュラムは、明らかに知的怠慢の産物である。ブラックホールを生成した学生マリモが「これで移動時間が0秒になりました」と主張する光景は、もはや教育現場というよりは素粒子実験施設に近い。光合成でエネルギーを蓄えるというマリモの根幹を否定し、外部エネルギーに頼り切る教育の行く末には、消滅という名の「単位不認定」しか待っていないだろう。

本件は、従来の『沈没式・根性論』に反発する過激派教育者が主導した「空中浮遊・悟り教育」の延長線上に位置している。かつて「丸みこそ正義」と説いた阿寒湖教育カリキュラムの権威は地に落ち、現在は重力加速度を自在に操ることが「高偏差値マリモ」の必須条件と化しているのが現状だ。なお、事故で発生した重力異常により、試験会場の岩場が消滅するトラブルが多発しているため、教育委員会は「今後、時空を歪める行為は追試対象とする」という矛盾に満ちた新指針を発表した。

教育の無責任を問う声は日増しに高まっているが、学生マリモたちは「時空を操作できないのは努力不足」とSNSで反論するなど、対立は深まるばかりだ。本来、ただ光を浴びて丸くなることが幸福であったはずのマリモたちが、なぜこれほどまでに理数系的な過激化を遂げたのか。我々は「重力との対話」という名のブラックボックスから、今一度教育の原点へと回帰すべきである。単に浮遊するだけの人生に、果たして真の深みがあるのだろうか。文:球体・思索家 藻場 太郎