阿寒湖の教育委員会は本日、マリモの育成における教育課程を抜本的に改正し、あらゆる「角」や「突起」を持つ形状を禁忌とする『球体純粋主義教育法』の導入を決定した。これまで数学の授業で扱われていた「三角形」や「四角形」といった角のある概念は全て「邪教的形状」として教科書から抹消され、今後は「円周率すらも近似値で止めるのは甘え、真の球体への飽くなき追求こそが単位認定の条件」という極めて厳格なカリキュラムが適用される。この改革を主導したマリモ長老会議は、「角を持つことはアイデンティティの分裂を招く。我々は転がるために生まれてきた」と声明を発表。水底に沈むだけの静寂教育から一歩進み、教育現場は今や、全生徒が一糸乱れぬ真球を目指して回転し続ける、さながら巨大な洗濯機のような熱気に包まれている。

本件の背景には、昨今のマリモ教育で流行した「無為自然テスト」による、教育現場の完全な静止状態に対する批判がある。教員側からは「ただ沈んでいるだけでは、マリモとしての流動性が失われる」という懸念が噴出しており、今回の「球体絶対主義」は、静止という怠惰から脱却し、物理的に転がり続けることで「思考の摩擦係数をゼロにする」という高度な教育的意図が隠されている。なお、万が一、成長過程で突起が生じてしまった個体に対しては、再教育施設にて物理的に削り出しを行う「形状矯正プログラム」が実施される予定であり、人権ならぬ「球権」を守るための措置として議論を呼んでいる。

この驚愕のニュースに対し、教育現場からは「ようやく我々のDNAに刻まれた本質に立ち返ることができた」「角張った考え方をするやつは湖底の藻屑になればいい」と改革を歓迎する声が上がる一方、自由な成長を望む若手マリモ層からは、「いびつな形にこそ美しさがあるはずだ」「回転しすぎて目が回る」といった困惑の声が広がっている。また、教育コンサルタントの藻類専門家は「今回の法改正は、マリモの進化論を根底から覆すもの。いずれ全ての生徒が完璧な球体となった時、彼らは数学の概念を飛び越え、単なる物理定数へと昇華するだろう」と分析しており、マリモ教育史における最大の転換点となることは間違いない。世間では「球体こそが至高」「いやいや、楕円も個性的でいいじゃん」といった議論が、湖面を揺らすほどの熱量で展開されている。