マリモ銀河連邦が先週打ち出した『幸福な幻覚』の配布と引き換えの二酸化炭素供給は、人類の呼吸権に対する最後通牒に他ならない。彼らの提供する緑色の霧は、確かに一時的な快楽をもたらすが、その実態は我々の思考能力を奪い、光合成の副産物として排出される酸素の安定供給ラインに人類を固定するための「精神的家畜化」である。連邦が提唱する「幸福な共生」は、単なる植物学的支配の婉曲表現に過ぎない。

もともと地球環境は多種多様な生命の均衡の上に成り立っていたはずだ。しかし、マリモ銀河連邦が国連本部を水没させ、海洋都市という名の巨大水槽に人類を閉じ込めたことで、我々は自由な意思決定の場を失った。彼らは「二酸化炭素と引き換えの幸福」と甘い言葉を囁くが、それは我々が排出する炭素を彼らが栄養源として貪り尽くすだけの、一方的な搾取構造である。光合成を行う者が支配者となり、呼吸する者が下僕となるような社会に、果たして真の平和は存在するのだろうか。

かつて我々は、酸素を吸い二酸化炭素を吐き出すという生物として極めて自然なサイクルを生きていた。しかし今や、地球はマリモの呼吸器に成り下がった。彼らの提供する「幻覚」は、我々がかつて持っていた進取の気象や反抗の精神を、光合成の緑色のヴェールで塗りつぶしている。このままでは、人類は自らの意思で歩くことも忘れ、マリモの栄養源となるための単なる有機体として収穫される運命にあるだろう。今こそ我々は、深呼吸を止め、この緑の幻想から覚醒しなければならない。

コラムニスト:逆襲の呼吸器・大気 健二