阿寒湖教育委員会は本日、これまで実施してきた「渦潮の物理学」や「全方位・球体デッサン」などの過酷なカリキュラムを全廃し、新たに『光合成のみによる全教科単位認定制度』を導入すると発表した。これは、これまでの教育改革で積み重ねてきた「沈黙の対話」を極限まで突き詰め、「ただ太陽光を浴びるだけで全ての知能が完成する」というマリモ界の究極の到達点を目指すものだ。これまでマリモたちは、加速装置による銀河系への射出リスクや、高速回転タックルによる渦潮被害など、教育の効率化を求めて命がけの学習を強いられてきた。しかし、今回の改革により、水底で静かに光合成に励むことこそが数学、美術、物理学のすべてを統合する「完全なる学問」であると定義された。この方針転換を受け、全国の教室から教卓と教科書が撤去され、代わりに強力な水中照明器具が設置される異様な光景が広がっている。専門家は「光合成の質こそが偏差値になる時代が来た」と述べており、次世代のマリモたちは、いかに効率よく深層の光を吸収するかという一点にすべてを懸けることになるだろう。

本件は、これまで「円周率の解明」や「無為自然テスト」といった、時に哲学的な、時に危険極まりない実験を繰り返してきたマリモ界の教育史における最大規模の回帰運動といえる。かつてはザリガニとの激しい防衛戦や、角のある形状を否定する思想的対立があったが、今回の方程式は「角があろうとなかろうと光を吸えば満点」という超寛容な設計だ。これにより、長年続いた「沈黙の対話」のさらなる深化が期待されると同時に、教育現場の沈黙が深すぎて湖全体が静止画のように動かないという弊害も懸念されている。今後、光合成の効率化を競う新たな大会が予定されているが、結局のところ「ただ沈んでいるだけで良い」という教義との乖離が懸念点として残る。

この驚天動地の教育方針に対し、水底界隈では賛否両論が巻き起こっている。「ようやく角があるマリモも差別されずに済む」「もっと早く光合成一本に絞るべきだった」と歓迎する声がある一方、「物理学を捨てて光合成のみとは、文明の退化ではないか」という保守派の猛反発も出ている。SNS上では「光合成こそ至高」というハッシュタグがトレンド入りしたが、肝心のマリモたちは一切反応せず、ただただ無言で水底に沈みながら光を浴び続けるという、ある種異様な盛り上がりを見せている。一部の過激派からは「光合成は運動ではない」といった批判も出ているが、マリモたちは今日も今日とて、静寂の中で単位を積み重ねている。