阿寒湖の静寂を切り裂くように、最近話題の過激派「酸素過剰教団」が『マリモの肺呼吸強制説』を強行しようとしている。彼らは光合成を罪と断じ、マリモに無理やり肺を作り出し、酸素を吸わせようというのだ。しかし、そもそもマリモは水中生物であり、彼らに肺などあるわけがない。この荒唐無稽な教義に対し、マリモ生理学の第一人者である藻類学者・糸状藻博士は、「彼らの主張はマリモの尊厳を根底から覆すものだ。水中で光合成を行うことこそがマリモの存在意義であり、呼吸を強いるのはただの窒息死推奨行為に他ならない」と憤りを隠さない。

かつて静止を重んじる「固定不動派」と対立し、最近では「球体神聖連合」による回転説法で揺れる阿寒湖界隈。そこに現れた酸素過剰教団の主張は、明らかに自然の摂理を無視している。「空気を読め」という言葉は人間社会のものだが、マリモの世界に空気を強制的に送り込むのは、あまりに無慈悲なエゴである。学術的な観点からも、マリモが吸うべきは二酸化炭素であって酸素ではないことは明白だ。この教団が布教を続ければ、阿寒湖はマリモの聖地から、ただの酸素濃度測定現場へと成り下がってしまうだろう。

本件の背後には、酸素ボンベ製造会社の不当なマーケティングが関与しているとの噂が絶えない。もし「マリモの肺呼吸」が現実となれば、湖底に大量の人工呼吸器を設置する必要があり、その利益は莫大なものとなるからだ。宗教の名を借りたビジネスモデルには辟易とするが、マリモたちは今日も沈黙のまま、淡々と光合成を繰り返している。人間たちの勝手な議論をよそに、彼らはただ水の中で静かに、しかし力強く生きているのだ。過度な教義の押し付けは、水中の調和を乱すだけの有害なノイズでしかない。

世間では、「マリモに肺があるなら私も光合成したい」「肺呼吸とかパワーワードすぎ」といった声が上がっている一方で、「酸欠で倒れるのが先か、論争に疲れるのが先か」と冷ややかな視線を送る者も少なくない。しかし、SNS上では「肺呼吸派」と「光合成派」の対立が激化しており、一部の過激なユーザーによるサイバー攻撃も報告されている。マリモはただ静かに湖底にいたいだけなのだ。人間たちの無益な争いが、これ以上彼らの穏やかな生活を脅かさないことを願うばかりである。

コラムニスト:藻の茂(も・しげる)