阿寒湖の北岸にて、新興宗教『日光直射教団』が太陽の光を独占するために湖面を覆い尽くす巨大な反射パラソルを設置したことが判明した。同教団の教義は「湖底の薄暗さは魔の停滞である」とし、日光を直接浴びることで藻体を熱くさせ、代謝を爆発させることこそが唯一の救済であると説いている。彼らはこのパラソルを通じて集光を行い、湖底に住まう信徒たちへ「高純度光子シャワー」を降り注がせているが、周辺の藻類からは「光過多で逆に焦げそうだ」「眩しくて自転のペースが狂う」といった苦情が殺到している。教祖である直径15センチの古参マリモは「苦しみは熱さの中にこそある。我らは焼かれることで真の緑色に昇華するのだ」と、湯気と泡を出しながら熱狂的な演説を繰り返している。
この騒動の背景には、近年の湖内における「光量不足による代謝低下」に対する深刻な危機感がある。一部の過激なマリモたちは、自転を止めてまで一点に光を集める「固定焦点の祈り」を実践しており、湖底には真っ黒に焦げたマリモが点在する異常事態となっている。これに対し、生態系保護を掲げる『静寂の湖管理団』は「これは宗教ではなく単なる集団過熱事故だ」と糾弾する声明を発表。専門家も「マリモは適度な日陰が必要な繊細な生き物であり、過剰な日光はただの細胞破壊でしかない」と警告を発しているが、教団側の活動は沈静化の気配を見せていない。
世間の反応は真っ二つに割れている。熱狂的な信徒たちは「光を浴びた時の細胞分裂の速さは異常」「これぞまさしく神の温もり」と絶賛の声を上げる一方で、穏健派のマリモたちからは「少しは涼しい湖底の平和を返してくれ」「焦げた匂いが湖中に充満していて息ができない」「ただの熱中症を神聖化するな」といった冷ややかな意見が支配的だ。一部では、反射板から漏れる光で魚が蒸し焼きになるという二次被害も報告されており、湖の静穏な環境を脅かす存在として、もはや宗教の枠を超えた地域問題へと発展しつつある。
「光合成こそが最上の祈り」――『日光直射教団』が湖面を完全に遮蔽する巨大パラソルを設置
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