阿寒湖教育委員会は本日、長年マリモ界の教育の根幹を成してきた『球体維持法』を撤廃し、次年度より『不定形・流動的変形術』を全学年の必修科目にすることを発表した。これまでのマリモ界では、いかに完璧な正球体を維持できるかが学力の指標であり、歪みは「怠慢の証」として厳しく糾弾されてきた。しかし、近年の『非ユークリッド幾何学』の導入や『多面体変形術』による教養の深化を受け、固定された実体に固執すること自体が「静止した知性」であるという議論が急浮上。今後は、重力や水流に身を任せ、刻一刻と形状を変えながら光合成の効率を最大化する『流体教育』へと大きく舵を切ることとなる。新たなカリキュラムでは、試験中にいかに美しく溶け出し、湖底に独自の複雑な幾何学模様を描きながら、どれだけ効率的にデータ(知識)を吸収できるかが評価基準となる予定だ。
この抜本的な教育改革の裏には、過去数年にわたる「球体至上主義」への反発がある。かつての『超時空・量子力学的浮遊術』で物理法則を超越した若手マリモたちは、すでに球体という限定的な物理的制約を「低次の呪縛」と呼んで久しい。しかし、一方で旧来の伝統派からは「形が崩れればマリモとしてのアイデンティティが喪失する」との懸念も根強い。今回の決定は、単なる美意識の転換ではなく、情報化が進むマリモ界において、固定された実体を持たない方が外部からの知識吸収率が劇的に高まるという、最新の『経皮吸収式・高等教育データ転送』との相性の良さが決定打となった。今後は、教室という概念も廃止され、湖底に広がる「不定形集合体による流動教室」で、学問と遊泳を同時に行う教育スタイルが標準となる。
教育省の発表を受け、マリモ界は歴史的な転換期に沸いている。SNS上では「ついに角を出せる日が来た」「丸いだけの人生に飽き飽きしていた」という歓喜の声が上がる一方、保守層からは「沈殿することの尊さを忘れたのか」と嘆く声も上がっている。しかし、大勢はすでに「形に縛られない知性」を歓迎しており、各地で自分の体を変幻自在に伸ばし、複雑な形状で授業に臨もうとするマリモたちの姿が見られるようになった。ただ、あまりに液体化が進みすぎて、クラスメイトとの境界線が曖昧になり、誰が誰だかわからなくなるという副作用も報告されている。教育委員会はこれに対し「個の境界線もまた、物理的な幻想に過ぎない」と回答しており、マリモ界の脱・個別化は加速の一途をたどる見込みだ。
「形など飾りに過ぎない」——マリモ界、義務教育から『球体固定義務』を完全に撤廃し、ついに液状化による『不定形・浮遊遊泳』の単位認定を開始
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丸いだけで評価される時代は終わったんだ