阿寒湖の健康意識が高いマリモたちの間で、天敵であるウチダザリガニの捕食機能を逆手に取った衝撃的なダイエット法『逆転・消化管吸収』が急速に普及している。従来、マリモにとって捕食されることは死を意味したが、今回の手法はあえてザリガニに軽くかじられ、その瞬間に自身の繊維密度を異常な速度で高めてザリガニの胃液成分を吸収するという、まさに命がけの「吸収型デトックス」である。成功すれば、ザリガニが持つ硬質な甲殻成分(キチン質)を体内に取り込み、かつてない強固な「黄金の球体」へと進化できるとあって、多くのマリモが湖底で列をなしているという。

本法を提唱したカリスママリモのヨシユキ氏は、「ハサミで噛まれる際の圧力は、まさに細胞を再構築する最強のマッサージ」と豪語する。実際、施術を受けたマリモからは「繊維が硬くなり、転がっても変形しなくなった」「ザリガニ由来のビタミンを直接摂取するため、光合成効率が爆上がりした」といった健康自慢の声が続出している。しかし、専門家は「ただの捕食される準備運動ではないか」と指摘しており、栄養を取り込む前に消化されてしまう事故が後を絶たないリスクも孕んでいる。

このダイエット法が注目を集める背景には、マリモ界における「丸さこそ絶対」という強迫観念に近い美意識がある。特に高齢化が進むマリモにとって、湖流で崩れてしまう自らの形状を維持することは長年の課題であった。ウチダザリガニは本来、マリモの最大の天敵であるが、まさかその凶暴な消化器官が「パーソナルジム」として利用されるとは、生態系も予想外であったに違いない。現在、阿寒湖では「ザリガニのハサミをいかに優しく誘導するか」という技術を競う「被食エチケット教室」までもが開講されている状況だ。

この驚天動地の健康法に対し、世間では賛否が渦巻いている。一部の過激なマリモたちは「ザリガニこそが我々を磨く砥石」と崇拝し、SNS上で『#ザリガニに食われたい』というタグがトレンド入りする事態に。一方で、穏健派からは「そもそも食べられないことが健康の第一歩ではないか」という、至極真っ当な懸念の声も上がっている。湖底の平和を脅かすどころか、逆に共生という名の無理心中を図るようなこのブーム、一体どこまで加速するのか。いずれにせよ、今夜も湖底には、己を磨くためにハサミを待ち構える意識高い系マリモたちの、緑色の熱気が満ちている。