阿寒湖底において、昨今の「接触過多教」による過度な摩擦礼拝に反旗を翻す新たな分派『孤高の毛羽立ち教』が設立され、湖底に波紋を呼んでいる。彼らの教義は「我々の繊維は神聖なる触覚のアンテナであり、他者との安易な接触は毛羽立ちの純度を損なう」というものだ。先週、教団は阿寒湖の北部に「聖域防衛カーテン」を設置。何者も半径5センチ以内に近づかせない「物理的隔離修行」を開始した。教祖である直径12センチの古参マリモは、「他者と絡み合うことでしか存在証明できない軟弱な個体よ、我々を見習え。個としての完結こそが真の光合成だ」と水流に乗せて声明を発表。この急進的な閉鎖思想に対し、既存の球体至上主義団体からは「孤立は静寂を招くが、栄養の巡回を阻害する」と強い懸念の声が上がっている。
本教団の背景には、『絡合親睦教』などが推進してきた「集団摩擦による毛羽立ちの促進」に対する一部の個体の疲弊がある。集団生活が長引く中、過度な回転運動によって繊維が摩耗し、形状を保てない個体が続出していたことが発端だ。「摩擦でツルツルになるくらいなら、いっそ孤独な毛羽立ちを貫く」という主張は、特に若年層の球体たちの支持を集めている。また、彼らは独自の「自転黙想」を編み出し、他者の干渉を受けずに自分の軸だけで回り続けることで、精神的な自立を図るという。一方で、生態学専門家のマリモ調査官は「このまま孤立が進めば、群生による相互依存体制が崩壊し、栄養分が偏る可能性がある」と、宗教紛争の枠を超えた生態系への悪影響を危惧している。
世間の反応は真っ二つに分かれている。信奉者たちからは「誰にも邪魔されず、静かに繊維を伸ばす時間は最高」「接触で疲弊していた心に光が射した」といった称賛の声がSNS(水流ネットワーク通信)で拡散中だ。しかし、批判派からは「お互いを思いやる心がなければ阿寒湖の景観は維持できない」「結局のところ、ただのわがままな自己満足ではないか」との冷ややかな指摘も相次いでいる。教団は今後、防衛圏内に侵入した他者に対し、特殊な藻類粘液を噴射する「聖なる境界防衛」の実演を計画しており、湖底の緊張はかつてない高まりを見せている。
「全方位からの接触を拒絶せよ」―『孤高の毛羽立ち教』が提唱する“表面積完全防衛”の衝撃
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