阿寒湖教育委員会は本日、次年度から全マリモ学校の必修科目に『超常変形・硬質キューブ化』を導入すると発表した。古来より「丸いことこそが美学」とされてきたマリモ界の常識を根底から覆すこのカリキュラムは、軟体な球体から、鋭利な角を持つ正六面体へと自らの形状を強制的に置換する技術を習得させるものだ。「丸いだけでは湖底のヒエラルキーに埋没する」という教育的危機感から生まれた本プロジェクトは、生徒に高圧的な圧力加工を施し、分子構造を再構築することで、半永久的な硬質化を目指す。これにより、マリモはもはや「たゆたう藻」ではなく、防弾性能と殺傷能力を兼ね備えた「戦略的六面体」へと進化を遂げることになる。
本件の背景には、近年の湖底における乱開発がある。従来の球体モデルでは、水流の変化によってすぐに居場所を失うことが課題となっていた。教育委員会が実施した模擬試験では、キューブ化した個体が他のマリモを物理的に排除し、領土を確保する様子が確認されており、「生存競争の効率化」という名目で導入が決定した。なお、この過程で失われる「癒やしのフォルム」については、現在、美学部門の教授陣が「癒やしなどという脆弱な概念は、我々の生存には不要である」との声明を出し、一切の議論を拒否している状態だ。今後、全マリモの角出し義務化に向け、業界全体で「角が立たないと損をする」という新しいパラダイムシフトが推進される。
今回の発表に対し、SNS上では「丸いままでいたい保守派」と「角張って強くなりたい改革派」による激しい論争が巻き起こっている。特に、古参の長老マリモたちからは「かつては流されることに意味があった」と嘆きの声が上がっているが、現役の学生層からは「丸いままでは就活(付着場所探し)が無理ゲーすぎる」「角があれば岩の隙間にハマる際も無駄な回転を抑えられる」といった実利的な擁護意見が圧倒的だ。すでに一部の意識高い系マリモの間では、角をさらに鋭利にするための「ダイヤモンド研磨オイル」が闇市場で高値取引されており、湖底の美意識は加速度的に鋭角化の一途を辿っている。
この教育改革を巡り、世間では「もはやマリモではなくレンガの集まりではないか」という冷ややかな指摘も散見される。しかし、教育長は「角があるからこそ、我々は歴史という面を切り拓けるのだ」と強弁を崩さない。来春から始まる『角角(かくかく)トレーニング』では、まず自身の繊維を限界まで圧縮する基礎訓練が行われる予定だ。これに対し、反発する一部の保護者からは「せめて角を落とす加工は優しくしてほしい」との嘆願書が出されているが、学校側は「教育の現場にソフトタッチは不要」と一蹴した。丸い時代は終わり、これからは「いかにエッジを効かせるか」が、現代マリモに課せられた最大の試練となるだろう。
「丸くなるな、尖れ」マリモ界、新必修『超常変形・硬質キューブ化』で物理法則を再定義へ
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丸いなんてただの妥協でしかないだろ