阿寒湖教育委員会は今期より、全マリモを対象とした必須科目『光合成感受性向上トレーニング』を導入した。これまで「ただ日光を浴びて酸素を出すだけの機械的プロセス」とされていた光合成を、個々のマリモがその「光の質感」や「波長の温もり」を情緒的に捉え直すことで、藻類としての精神的豊かさを追求しようという試みだ。しかし、授業内で行われる「太陽光へのラブレター朗読」や「紫外線のトーンに合わせた色彩変調ワーク」が、一部の若手マリモに深刻なアイデンティティの混乱を招いていることが判明した。「光を浴びるだけで泣けてくる」と過剰に感傷的になる生徒が続出し、中には「太陽に片思いしすぎて細胞分裂が止まった」という深刻なケースも報告されている。教育の目的が「効率的な糖分生成」から「光と魂の交感」にシフトしたことで、マリモ界の教育現場は未曾有の情緒的不安定期に突入している。

本施策の背景には、昨今の過度な回転効率化や多面体変形術による「理系全振り教育」への揺り戻しがある。マリモの知性とは何かを問い直す運動の中で、過激な文系教育推進派が主導権を握った結果、数式を解くよりも詩的な光合成を重んじるカリキュラムが完成した。しかし、光の波長を「悲しみ」と「喜び」に分類する授業内容は、光合成の生物学的基盤を揺るがすものとして、伝統的な藻類学者たちからは「科学の冒涜」と猛烈な批判を浴びている。また、過度な感受性教育により光合成を拒否する「光拒絶不登校」も急増しており、教育現場の混乱は極まりつつある。

SNS上では「光合成の授業でメンタルが削られるのは本末転倒ではないか」との疑念が渦巻いている。一部の親マリモ層からは「光を浴びて成長するだけで十分なのに、なぜ光の色を解釈させるのか」という正論が上がっているが、当局は「光の味を理解できない者は真のマリモではない」と強硬姿勢を崩さない。一方で、光と対話することで「これまでより二割増しで緑色が鮮やかになった」というポジティブな報告もあり、個体差による適応の是非が激しい論争を呼んでいる。