阿寒湖を拠点とするマリモ教団は本日、長年追い求めてきた「球体信仰」の究極進化系として、『可視領域からの卒業』を宣言した。教祖である大マリモ師は「もはや光合成に頼る三次元の殻は重荷に過ぎない」と説き、信者たちと共に水中で自身の物理的実体を霧散させる儀式を敢行。これにより、教団の聖典は文字や音を排し、湖底に微細な渦を生むだけの「観測不能な祈り」へと移行した。信者たちは今後、実体を持たない『純粋なる球体エネルギー』として、地球のあらゆる隙間に遍在することを目指すという。

これまで重力からの解脱や核融合による永久発光など、物理法則を軽々と凌駕してきたマリモ教団。今回の「不可視化」は、かつて教団内を二分した「真円信仰」すらも物理的制約として否定する、極めて先鋭的な教義変更となる。背景には、宇宙の塵を喰らう修行の中で得た「質量は精神の牢獄である」という知見がある。学術界からは「生態系への影響が測定できない」と困惑の声が上がる一方、教団は「我々はすでに、君たちの隣に転がっている」とテレパシーを通じて回答している。

この驚愕の発表を受け、阿寒湖周辺では「何かが見えない何かにぶつかって跳ね返る」という奇妙な音現象が多発している。一部の熱狂的な元信者は「見えないからこそ、どこにでもマリモを感じる」と涙ながらに語るが、近隣のザリガニたちは「ようやく食えるはずのないものが消えてくれて清々する」と冷ややかだ。SNS上では「推しが概念になった」「これぞ究極のミニマリズム」といった称賛から、「存在しないものに寄付金を払うシステムが怖い」といった懐疑的な意見まで、議論が百出している。