腸内森林化やマリモ点眼で体内を緑に染める健康法が流行する中、今度は脳の海馬にマリモを直接植え付ける『脳内光合成法』が一部のバイオハッカー間で熱狂的な支持を集めている。この療法は、頭蓋骨に微細な穴を開け、マリモの胞子を海馬へ定着させることで、睡眠中に脳内で二酸化炭素を酸素に変換し、究極の集中力を引き出すという触れ込みだ。しかし、実施者から「頭の中で常に水音がする」「考え事をするたびに藻類特有の甘酸っぱい匂いが鼻を抜ける」といった報告が相次いでいる。さらには、自身のIQが測定不能なほど低下した代わりに、阿寒湖の生態系に異様に詳しくなるという「緑化現象」の副作用も確認されており、医学界は「脳が湿原化している」と警鐘を鳴らしている。

『マリモ腸内森林化計画』から派生した本療法は、当初、アルツハイマー病の予防として期待されていた。しかし、臨床試験の結果、被験者の脳内が完全に阿寒湖の底と同じ成分構成に変化したことで、記憶力よりも「浮力」が優先される事態に発展。脳内環境が湿原化すると、思考が水面に浮かぶマリモのように漂流し始め、論理的な思考が不可能になることが判明した。現在、厚生省は脳内のマリモを強制的に除草する『脳内枯葉剤噴霧』の緊急認可を検討しており、愛好家団体との間で激しい議論が繰り広げられている。

「IQが下がって逆に楽になった」「頭の中で常に波の音が聞こえるから寝付きがいい」と語る愛好家もいるが、街中を徘徊しながら「ここが阿寒湖か?」と呟く患者が急増し、治安上の懸念も浮上している。専門家は「脳の緑化は一度進むと元には戻らない。マリモは育てて愛でるものであって、自分の脳の代わりにするものではない」と語気を強める。健康を求めた結果、思考能力と引き換えに安らぎを得るという本末転倒な事態に、ネット上では「脳内が湖になる前に深層呼吸マスクを外すべき」との冷静な声も上がっている。

脳が湿原化したことによる弊害は深刻で、一部の重症者は会話の語尾に「~モス」とつける言語障害を発症している。また、脳内のマリモが成長しすぎると頭皮から毛の代わりに藻が生えてくる現象も報告されており、見た目にも顕著な変化が現れている。SNS上では「脳内緑化で人生がイージーモードになった」と語る者と、「人間を捨てて藻になるな」と糾弾する者たちの争いが絶えない。健康診断で脳波の代わりに「プランクトンの密度」が測定されるようになる日も、そう遠くないのかもしれない。