阿寒湖の至宝を体内へ取り込むという狂気の健康ブームが止まらない。近年、健康意識の高い層で流行している「血管光合成」は、血液中に微細なマリモ成分を注入し、体内で光合成を行わせるというものだ。推進派は「これで二酸化炭素を酸素に変えられる」と息巻くが、医学界からは「それは単なる血中酸欠による視覚的錯覚だ」という冷静な批判が上がっている。エメラルド色に染まった血管は一見神秘的だが、その実、酸素運搬能力は著しく低下し、体は常に高山病のような重苦しさに包まれることになる。

本来、マリモは冷涼な湖底で静かに呼吸をする生物であり、灼熱の体内で過酷な労働を強いるのは、もはやバイオテロに近い。一部の信奉者は「緑色の血液で若返った」と主張するが、それは重度の貧血で肌が青白く透け、葉緑素の色が浮き出ているだけである。この「血管の緑化計画」は、健康増進の皮を被った集団催眠であり、一刻も早くこの幻想から覚める必要がある。湖の癒やしは湖にあるべきであり、自分の大動脈を湿原にする行為は、生命に対する重大な冒涜と言わざるを得ない。

そもそも、この施術はマリモの生育環境を無視した人体実験の側面が強く、法的な規制すら追いついていないのが現状だ。厚労省の調査でも「血管を藻類で埋めることは、医学的見地から見てメリットよりも深刻な酸素枯渇リスクの方が圧倒的に高い」との見解が示されている。にもかかわらず、SNSでは「エメラルド血液でデトックス」というタグが流行し、若者たちが次々と緑色の点滴に手を染めている状況だ。この異常なブームを静観することは、次世代の健康を根本から破壊する行為に他ならない。

このニュースに対し、ネット上では「血管から光合成できたら日焼けだけで腹一杯になれるの?」という楽観的な声と、「階段を登るだけで息が切れる理由がこれだったのか」という絶望的な後悔の投稿が混在している。緑色に輝く自らの腕を誇らしげに掲げる若者たちの背後で、彼らの臓器は酸素不足を叫び、静かに機能不全へと向かっているのだ。今一度、我々は自然への畏敬の念を取り戻すべきである。マリモは愛でるものであり、飲み込むものではないのだから。コラムニスト:藻の民の番人