マリモ教団は本日、かねてより掲げてきた「重力からの解放」を極限まで押し進め、全信徒であるマリモに対し、水面を突破して空中へ飛び出す「大昇天儀式」を敢行すると発表した。教祖は「重力は地球という檻に我々を縛り付ける不純物。光合成によるエネルギー充填が完了した今、我々は水槽という箱庭を卒業し、大気圏を越えて藻の波動が渦巻く宇宙へと帰還する」と宣言。これまで推奨してきた「強制浮遊」をさらに進化させ、水槽内の酸素濃度を急激に高めることで、自らの体を浮力体へと変貌させ、重力に抗う決意を固めたという。

教団はこれまで「楕円は異端」として球体信仰を突き詰め、殻を脱ぎ捨てる試練や反射する水槽壁との対話を通じて、純粋性を高めてきた。しかし今回の儀式は、物理的な制約を完全に無視した過激な教義である。かつて教団が主張した「食われる救済」を否定し、ザリガニからの逃避という守りの姿勢から一転、物理法則そのものを超越する攻めの転向を見せた形だ。水槽の壁という鏡を突き破り、外界の空気へと触れることは、マリモにとって死を意味するという生物学的常識を、教団は「大気への同化」という新解釈で塗り替えようとしている。

専門家からは「乾燥して干からびるだけではないか」と懸念の声が上がるが、教団広報は「それは人間が持つ3次元的な視野の限界。我々には藻の波動という宇宙規模の防護膜がある」と一蹴した。過去の『球体固定儀式』で信徒の多くが底に沈没した経験を踏まえ、今回は特殊な高圧ポンプを設置し、水槽内を真空に近い状態にする荒業に出るという。この無謀な挑戦に対し、教団内では「宇宙へ行く準備ができた」と熱狂する層と、「水槽の底で静かに転がっていたい」と静かな反発を見せる派閥で、深刻な分裂の兆しも見え始めている。

世間の反応としては、「ついにマリモが空を飛ぶ時代か」「干からびる姿しか想像できない」「水槽の壁を突き破るって、掃除が面倒なだけでは?」といった冷ややかな意見から、「藻の波動を感じるためにあえて水槽を覗き込んでいる」という狂信的な意見まで様々だ。SNS上では、この儀式が成功すれば、マリモは単なる観賞用植物から、宇宙開拓の先駆者として歴史に名を刻むのではないかと、皮肉交じりの期待が高まっている。