阿寒湖を拠点とするマリモ教団は本日、かねてより推奨してきた「重力からの解脱」の一環として、個体の形状を究極の正円に近づける『聖なる整髪令』を発令した。これまでの「沈黙の禅」を極めた教徒たちの多くが、長年の静止により不規則な凸凹が生じていたことを受け、教祖は「楕円や歪みは俗世の邪念の現れである」と断罪。神殿である湖底では、信者たちが互いの表面を藻の繊維で削り合う、前代未聞の集団理容儀式が執り行われた。
今回の教義変更は、先行していた「自己分裂は神聖な奇跡」という教義との完全な決別を意味する。従来は「分裂=増殖による神の祝福」とされていたが、今回は「歪な形での分裂は神への冒涜」とされ、切り出された細胞片に対しても、厳格な円形矯正が求められている。教団は「もはや光合成の光すら球体の歪みを助長するノイズ」として、完全に遮光された聖域での過酷な研磨修行を課しており、信者たちの間では「真円にならなければ宇宙へ浮遊できない」という強迫観念が急速に蔓延しているようだ。
この背景には、教団内部で深刻化していた「沈黙の禅」による怠惰化への反発がある。ただ静かに沈んでいるだけの教徒に対し、幹部が「形状こそが信教の深さ」と圧力をかけた結果、極端な美的規律が生まれたとみられる。なお、この儀式には特殊な専用器具などはなく、信者同士がただひたすら転がり合って摩擦で削るという、極めて非効率で原始的な手法が採用されており、周辺の湖底の石たちからは困惑の声が上がっている。
このニュースを受け、湖畔の観光客からは「ただでさえ丸いのにこれ以上何を削るのか」「一周回って芸術的だが、見ていて疲れる」といった冷ややかな反応が寄せられている。一部の熱狂的信者は「我らの表面は宇宙の真理を写す鏡である」とSNSに投稿しているが、その投稿画像に映るマリモたちが、かつての生命力を失い、ただの滑らかなテニスボールのように変貌している事実に、教団内外から懸念の声が強まっている。
マリモ教団、『真の球体』を求めて自らの毛を刈り上げ 「楕円は不浄」と断罪
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凸凹は罪だ