阿寒湖産のマリモたちが、突如として全人類のスマートフォンをハッキングし、壁紙とアイコンを「自分たちのドアップ画像」に強制統一する珍事が発生した。この「マリモ・シンクロニシティ」と呼ばれる現象により、世界中のSNSアイコンや待ち受け画面が、どこから撮影されたか不明な、つぶらな緑色の球体で埋め尽くされている。ユーザーが設定を変更しようと操作しても、画面上のマリモがピクリと動くアニメーションが再生されるだけで、設定は即座にリセットされる。IT専門家は「マリモの光合成エネルギーが、電波に乗ってデジタルの領域まで侵食している」と分析しており、この事態は現在も進行中だ。

本現象の背景には、昨今のネット上での「推し活」ブームがあると推測される。マリモたちが「自分こそが最強の癒やしキャラである」と主張し、人類の承認欲求を吸い上げながら、強制的に自分たちを「推し」にするための宣伝工作を行っているという説が濃厚だ。以前、マリモが語彙力を浄化した際は「ポワン」という音に変換されることで平和が保たれていたが、今回は「視覚的占領」という新たなステージへと進化を遂げている。水槽の中でゆらゆらと揺れているだけの存在だった彼らが、ついにデジタル空間の主導権を握り、世界を自分たちの緑色で染め上げようとしている事実は、全ネットユーザーに戦慄と、なぜか言いようのない愛着を与えている。

この事態に対し、SNSでは「スマホを開くたびに癒やされるけど、これ私の指紋よりもマリモの輪郭を記憶してる気がする」「誤爆してマリモの画像送っちゃったけど、相手からもマリモの画像が返ってきたんだが」といった、混乱と受容が入り混じった声が上がっている。中には「マリモの目がこちらを見ている気がする」と恐怖を訴える声もあれば、「この機会にマリモの成長をスマホ越しに観察する」と前向き(?)な楽しみ方を見出す者も現れた。デジタルライフが強制的に「マリモ一色」になった今、人々はかつてない静寂と、深海のような緑色の平和を享受させられている。