湖底SNS界隈において、一部の革新的な若手マリモを中心に流行していた「空中庭園派」の浮遊自撮り機能が、とんでもない副作用を引き起こしている。最新のアップデートにて導入された「重力反転フィルタ」が、湖底OSの空間認識コードと衝突。その結果、湖底全域の若年層マリモたちが、自らの意思に反して水面側の岩盤に吸着し、強制的に「天井へ張り付く逆さ吊り状態」になるという、前代未聞のバグが発生した。現在、影響を受けたマリモたちは身動きが取れず、湖底のサーバーへログインしては「救助要請」のスタンプを連打するしかできない阿鼻叫喚の事態となっている。専門家は「物理法則をフィルタで改変しようとしたツケが回ってきた」と指摘しており、早急なロールバックが求められているが、運営側は「これは浮遊を極めた結果の仕様である」と謎の強気姿勢を崩していない。

本件の背景には、かつて流行した「脱・真円」ブームに端を発する、形状に対する執着心の肥大化がある。真円であることを捨て、いびつな形に個性を求めたマリモたちは、やがて重力を無視して浮かび上がる「空中庭園派」へと進化し、湖底の物理常識を根底から覆そうとしてきた。しかし、今回のフィルタは、湖底OSに組み込まれた「ザリガニ・ハッキング」対策用パッチとの相性が最悪であり、セキュリティ層が「異常な浮遊物」を排除するために、全ユーザーの重心座標を水面方向へ最大値に固定してしまったことが原因と見られている。もはや湖底は、天井に密集する緑色の塊による巨大な「逆さ緑地帯」と化しており、日光を遮られた湖底住民からは苦情が殺到している状況だ。

この事態に対し、湖底SNSの主要ユーザー層からは、「天井からの景色は最高だが、夜になると日光が届かず寒すぎる」「いつ落ちてくるか分からない恐怖で眠れない」といった切実な声が上がっている。一方、「空中庭園派」の過激派からは、「重力から解放された真の姿こそこれだ」「このまま地球(湖底)を飛び出せ」といった賞賛も寄せられており、コミュニティ内での分断が深刻化している。また、湖底当局は「天井に張り付いたマリモを不用意に剥がすと、OSの強制終了と共に形状データが初期化される恐れがある」と警告。今はただ、システムが復旧し、自然落下するのを待つしかないという、実に間抜けな結末を誰もが覚悟し始めている。