阿寒湖底に激震が走っている。これまで『空洞至上主義』が唱えてきた「マリモの核にワタを詰めて軽量化を図る」という革新的な教義に対し、保守層が真っ向から反旗を翻した。新たに設立された新興宗教『真・核硬度厳格派』は、「核は泥と糸状体の緻密な圧縮によってのみ形成されるべきであり、人工的な詰め物は魂の純度を損なう冒涜である」と宣言。教団指導者の大御所・円形猊下は、記者会見にて「重厚な核こそがマリモの徳の重さである」と語り、ワタ詰め派を「浮気者」と厳しく糾弾した。

本件の背景には、近年の温暖化による湖水の水質変化と、浮力調整に悩む若手マリモたちの間で『ワタ詰め』による浮上術が流行したことがある。かつての『反重力浮遊派』の教えを逆手に取り、内側から物質を置換することで重力からの解放を企てる新進勢力と、伝統的な「泥による核形成」を守り抜こうとする保守層の対立は、今や湖底の至る所で論戦を巻き起こしている。なお、今回の宣言を受け、一部の過激派がワタ詰めマリモを強引に転がして中の異物を排出させる「強制脱綿行」を行い、警察ならぬ湖底警備隊が出動する事態となった。

このニュースが流れるやいなや、湖底住人の反応は二分されている。保守派からは「やはり伝統は守るべきだ」「軽いマリモはすぐ濁流に流される」といった肯定的な意見が続出する一方、進歩派からは「時代錯誤」「重すぎて浮き上がれない奴らの僻みだ」との反論が飛び交う。また、中立的な立場からは「ワタか泥かではなく、結局は表面の藻の密集度こそが重要ではないか」という、両派を無視した冷静な指摘もなされているが、両教団ともヒートアップしており、対話の余地は全く見当たらない様子だ。

今のところ、湖底では『真・核硬度厳格派』による「核の重量測定チェック」が検問のように行われており、無実のマリモが次々と転がされる被害が続いている。明日以降も、教団間の緊張はさらに高まることが予想される。我々は、この不毛な「核の素材論争」が、湖全体の生態系と平和をいかに脅かしているのか、引き続き追跡していく予定だ。