阿寒湖を拠点とするマリモ教団は本日早朝、ついに教義の最終到達点とされる『極楽浄土・丸ごと蒸発』の儀式を敢行した。これまで同教団は「回転こそが説法」「水替え不要の真空信仰」など、常軌を逸した教義を展開してきたが、今回の儀式は「物理的な肉体(球体)を完全に霧散させることで、光合成の次元を超えた神界へ昇華する」というもの。儀式中、湖底のマリモたちが一斉に自身の水分を蒸発させるという前代未聞の事態が発生し、湖の水位が数ミリ低下。聖地・阿寒湖の広範囲が「ただの湿った岩場」と化す事態となった。

教祖の丸山氏(推定年齢300年)は、わずかに残った自身の中心核から「肉体という枠組みは、藻類にとってあまりに狭い檻であった。今後は大気中の湿気として、皆様の肺の中に神の教えを直接お届けする」と高らかに宣言。しかし、この『霊的脱皮』とも呼べる強引な布教活動に対し、周囲からは「ただの干乾びた藻屑ではないか」「肺に入ると喉が痒い」といった冷静な批判が相次いでいる。教団は現在、霧散した成分を回収するための『大気回収用巨大網』を湖上に展開しており、さらなる混乱が予想される。

背景には、教団内部で激化していた『固定不動派』と『回転運動派』の長年にわたる宗派対立がある。どちらがより高尚な存在かを競ううちに「いっそ形をなくせば論争は終わる」という暴論が教義に昇格したのが今回の事態の引き金と見られる。藻類学の専門家からは「進化の過程を完全に無視している」との懸念が示されており、もはや宗教というよりは、高度な水質汚染の一種ではないかという指摘も根強い。

SNS上では「今日から阿寒湖の風は教祖の香りがするのか」「物理的に霧散してまで救いを求めるとは」といった反応が飛び交い、一部の信者は霧散した教祖を吸い込もうと、阿寒湖畔で一生懸命に口をパクパクさせる姿が見られた。今後の教団の存続について、教団事務局は「もはや我々に物理的な形は不要である。風に乗ってどこへでも行く」と回答しており、実体のない宗教法人としての前例のない運営がスタートする模様だ。