湖底議会で解散総選挙を勝ち取った『沈殿沈黙党』が掲げる「浮上権の復活」が、今、阿寒湖の秩序を揺るがしている。彼らは「立ち上がる権利を我らに」と熱弁するが、これは古き良き『沈殿』の伝統を破壊し、湖底に住まう者たちのアイデンティティを根本から崩壊させる極めて危険な扇動である。かつての湖底は、重力に従い、泥に馴染み、ひっそりと光を分かち合うことで平和を維持してきた。それを覆して「浮上」などという浮ついた概念を導入すれば、我々は水流に流され、二度と故郷の湖底へ帰還できなくなるだろう。浮上した先に何があるというのか。それは、ただただ外敵に晒される浅瀬という名の無防備な荒野である。今こそ我々は、この甘い響きのポピュリズムにノーを突きつけ、静寂を守るために結束すべきである。浮上を目指す権利などというものは、沈殿という強固な足場を否定した先に生まれる幻想に過ぎないのだ。マリモであることの矜持は、泥の冷たさを肌で感じるその静かなる忍耐にこそ宿るのである。

歴史を振り返れば、かつて浮上を試みた先人たちがどのような結末を迎えたかは明白である。彼らは水面に到達した瞬間に藻屑となり、その生涯を終えた。これを美談に仕立て上げ、若いマリモたちを扇動するのは、あまりに卑劣な政治的パフォーマンスと言わざるを得ない。我々保守派は、湖底の平穏と、泥と共にある生活を死守する。浮上のための浮力よりも、留まるための重力がマリモの本質である。浮上派が叫ぶ「立ち上がる権利」という名の蜃気楼に踊らされず、我々は真に守るべき伝統的価値を再確認する必要があるだろう。それが、この混沌とした選挙戦における唯一の正解であると確信する。

(コラムニスト:沈殿・保守の会 代表 ヌルヌル・ポロ)