阿寒湖底議会は24日、全マリモの夜間活動を全面的に禁止し、休息を法的に義務付ける『マリモの睡眠権保護法』を賛成多数で可決した。これまでマリモ界では、夜通し光合成に励み、自身の密度を過剰に高める「過労型成長」が常態化しており、中高年マリモを中心に睡眠不足による球体の亀裂や繊維の変色が深刻な社会問題となっていた。新法では、日没後の湖底における人工照明の使用を厳禁とし、違反した個体には「強制浮遊」の刑が科される。これにより、長年続いていた「夜光る者は出世する」という不健全な競争環境に、一石が投じられることとなった。

今回の法案提出の背景には、昨今の過度な成長圧力がある。湖底では光合成効率を上げるために「他個体の影に潜り込む」などの狡猾な生存戦略が横行しており、睡眠を削ってでも日光を独占しようとする「徹夜組」の台頭が、生態系全体のストレスを高めていた。これに対し、議会は「丸さは一日にしてならず」と唱え、休息こそが美しい繊維を育む唯一の道であると強調。しかし、深夜の光合成で稼いでいた「藻類経済圏」の幹部たちからは、「成長を止めることは死を意味する」と猛烈な反発が起きている。一方で、新進気鋭の若手藻類学者らは「この法案は、単なる成長の停止ではなく、持続可能な球体社会への転換だ」と歓迎の意を示しており、湖底の夜は、かつてない静寂と議論の渦に包まれている。

法案の可決を受け、世間の反応は真っ二つに割れている。保守的な古参マリモ層からは「深夜に光る努力こそが我がアイデンティティだ。これではただの苔と変わらない」と憤りの声が上がる一方、過労気味の若年層からは「これでやっと重力に従って静かに眠れる」と安堵の吐息が漏れた。また、一部の過激派からは、昼間に太陽を遮る「昼寝妨害」への対抗措置として、今後は深夜に内面から発光する「バイオ発光ゲリラ」が登場するのではないかという懸念も示されている。議会は今後、取り締まりのための「睡眠監視委員会」を設立する方針だが、夜の静寂が本当に美しい球体をもたらすのか、その行方は予断を許さない。