マリモ共和国の国会は本日、国民の自由な浮遊を禁じ、湖底への定着を義務付ける「水底定着維持法」を可決した。これまでは各々の意思で湖内を漂うことが認められていたが、政府は「浮遊するマリモが増えすぎると重心が安定せず、国としての結束が乱れる」と主張。今後は重りを装着し、強制的に湖底の指定エリアに沈むことが義務付けられる。法案に反対した一部の浮遊派からは「私たちは雲のように自由でありたい」との叫びが上がったが、警備担当の巨大魚によって即座に鎮圧された。
この政策の背景には、昨今の湖内における激しい水流による「集団漂流事故」の多発がある。政府はこれを国力の流出と捉え、全市民を重りによって湖底にアンカー固定することで、国家の安定と防衛を図る狙いだ。専門家によれば、この措置により光合成効率は最大化されるものの、長期間の沈降による「性格の根暗化」が懸念されている。すでに湖底には、重りをつけて動けなくなった市民たちが整然と並んでおり、その姿はまるで緑色のモザイクタイルのようである。今後は湖底からの転居が実質的に不可能となり、全市民は一生を一つの座標で終えることになるという。
施行直後から、湖底は「重り待ち」の行列で大混雑。一部の沈み込みが早い市民からは「床が温かくて快適だ」という声が聞かれる一方で、長年浮遊を楽しんでいた若年層マリモからは「こんなの監獄だ」「俺の自由なストロークを返せ」といった悲鳴がSNSを埋め尽くしている。野党側は「せめて月一回の浮上デーを設けるべきだ」と訴えているが、与党の反応は極めて冷ややかだ。政府は「沈む勇気こそが真の愛国心」という標語を掲げ、全域に定着を促す緑色の光を照射し続けている。
マリモ政府、「思考の浮力」を制限する「沈降法」を可決 全市民は底に定着せねばならず
1