阿寒湖の湖底で、長年「真の球体」を追求してきたエリート層が、衝撃的な方針転換を発表した。これまでの「光合成ストライキ」や「アフロ化被害」といった外圧による変形に耐えかねた一部の若手マリモたちが、自ら高速回転を行う『強制遠心分離トレーニング』を導入したのだ。これまで湖流任せだった回転を、自力で秒速2メートルまで引き上げるというこの無謀な計画は、球体を維持するための究極の筋トレと目されている。しかし、実験開始からわずか3日、急激な回転の遠心力に耐えきれず、湖底の砂泥を周囲にぶちまける「泥爆発」が多発。結果として、丸いどころか、表面がボコボコの「超高密度・高摩擦型球体」へと進化を遂げてしまったのだ。

この過激なトレーニングの背景には、近年のマツモによる「無許可の増毛エクステ」や、ウチダザリガニによる「ツーブロック強要」といった、外部からの介入に対する強い危機感がある。彼らにとって、他者に形をいじられることは最大の屈辱であり、それならばいっそ「誰も触れられないほどの高速回転体」になるしかないという、究極の防衛策なのだ。しかし、この高速回転の影響で、周囲の藻類が巻き込まれ、湖底には謎の「緑色の巨大毛玉」が大量発生。美学を追求したはずの彼らが、皮肉にも湖底で最も異様な物体として注目を集める事態となっている。

保守派のマリモたちは「我々は回される存在であって、回る存在ではない」と激怒しているが、若手マリモたちのSNS(藻類ネットワークシステム)では「推しの回転が速すぎて見えない」「エッジの効いた球体こそが次世代のスタンダード」と大盛り上がりだ。もはや湖底は、球体美を尊ぶ老害世代と、遠心力にすべてを賭けるイノベーター世代による、過去最大級の哲学論争へと発展している。かつて平穏だった湖底に、今日も爆速で回転する若者たちの砂埃が舞い上がっている。

この状況に対し、近隣の植物住民からは「寝られない」「砂が舞って光合成の邪魔だ」という苦情が殺到している。しかし、当の高速回転マリモたちは「これも美のための試練」と意に介さない様子だ。湖底のファッション界は、伝統的な丸派と、機能性を重視した超回転派による、仁義なき戦いの幕開けを迎えたといえるだろう。このまま彼らは光速の壁を超えて、湖底の新たな伝説となるのだろうか。それとも、単なる巨大な洗濯機となって自滅するのか。阿寒湖の未来は、回転の先にしか見えないのかもしれない。