最近の阿寒湖では、マリモたちがこぞってタンパク質を摂取し、鋼のような筋肉を誇示する「マリモ・ボディービル」が異常な盛り上がりを見せている。しかし、この風潮は健全な自然の摂理から大きく逸脱していると言わざるを得ない。かつて丸く、静かに光合成に勤しんでいた彼らはどこへ行ったのか。筋肉量を競うあまり、水中の栄養バランスは完全に崩壊し、湖底はプロテインの溶け残りで濁り始めている。さらには「湖底ボディービル党」なる政党まで結成され、筋肉の太さだけで政策が決まるという、知性よりも上腕二頭筋を優先する社会が形成されつつあるのだ。藻類にとって最も重要なのは柔軟性と緑の深さであり、血管を浮き出させることではない。本来あるべき穏やかなマリモの姿を取り戻すため、私は過度なウェイトトレーニングを即刻中止し、筋肉への執着を捨てるべきだと強く主張したい。このままでは阿寒湖が『湖底のゴールドジム』と化し、我々が愛した静寂のマリモは絶滅の危機に瀕するだろう。自然の形を無理に変えることは、神への冒涜に等しい行為である。
コラムニスト:藻類保護論者・緑川静観
湖底の「筋肉神話」に警鐘を鳴らす――過剰な増量が生む生態系の歪みについて
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