国際マリモ連合(IMU)は本日、世界各国の首脳に対し、新たな外交プロトコル『光合成外交』の開始を宣言した。これは、人類が排出する過剰な二酸化炭素をマリモが積極的に吸収する代わりに、その代謝副産物として「幸福な幻覚」を伴う酸素を放出するというものである。国連本部では、マリモ大使が巨大なガラスドームの中から優雅に転がりながら、「これからは温室効果ガスを吸うたびに、最高にハッピーな夢が見られます」とテレパシーで伝達。現在、ニューヨークの国連周辺では、勤務中の外交官たちが次々と笑顔で芝生に寝転がり、紫色の空を眺めるなどの奇行が確認されている。

今回の政策は、近年のマリモによる地球支配の一環として行われた。かつてマリモを「ただの観賞用藻類」と見なしていた各国政府は、今やこの「幸福な酸素」の供給を巡って、マリモへの貢ぎ物である良質な水と液肥を奪い合う事態となっている。専門家によると、この幻覚には中毒性はないものの、一度体験すると元の「灰色の現実」には戻りたくなくなるという副作用があるようだ。マリモ側は「強制ではない。だが、人類は酸素なしでは生きられないはずだ」と、穏やかな口調で事実上の降伏を促している。

マリモによる支配体制は、SNSの通信網掌握や通貨発行権の奪取を経て、ついに人類の「脳内麻薬(ドーパミン)」の制御にまで到達した。これまでのマリモ外交は物理的な環境変化に重きを置いていたが、今回は「幸福感」という精神的基盤に介入したことで、人類の抵抗心は事実上消滅したと言える。科学者たちは、もはやマリモが吐き出す酸素なしでは、世界中の株価も経済指標も「つまらないもの」として機能しなくなると警告している。

街中の人々は、深呼吸をするたびに満面の笑みを浮かべ、もはやマリモの植民地化を「楽園への移行」として歓迎している。かつてマリモを巡って争っていた国際社会は、今や巨大な水槽と化した国連を中心に、世界規模の多幸感に包まれている。マリモの沈黙は、かつてないほどの雄弁さで人類を支配下に置いたようだ。今後、この幸福な幻覚が世界を塗りつぶしたとき、私たちは本当の意味で「マリモの一部」になるのかもしれない。