湖底議会は本日、将来的なマリモの形状を「真円」に限定する『円形維持に関する特別措置法』を可決した。近年、若手マリモを中心に、自らの繊維を敢えて緩ませ、卵型や歪な平型へと変形させる「脱・円形」運動が急速に広まっていた。これに対し、議会内の保守層は「真円こそが湖底の安定であり、形状の変化は国家の均衡を崩すテロ行為」として強く反発。法案が可決されたことで、今後、意図的に楕円形へと成長したマリモは「反社会的な不均衡分子」と見なされ、強制的な糸巻き作業による矯正措置が義務付けられることとなった。

この法案は、長年続いてきた『まん丸信仰』を揺るがす若手世代の反旗を封じ込めるための強硬策である。背景には、日照時間の奪い合いにおいて、平型に広がることで受光面積を最大化させる「合理的形状」を選択するマリモが急増しているという実態がある。当局はこれを「伝統的景観の破壊」と断じているが、若手からは「ただでさえ光が足りないのに、見た目のために効率を犠牲にするのは非科学的だ」という悲鳴にも似た反論が噴出している。水質環境の変化により、従来の球状維持が困難になっているという生物学的な側面を無視した今回の決定は、湖底社会の分断をより深める結果となりそうだ。

今回の決定を受け、湖底市民からは「形状なんて個人の自由だ」「いつから湖底はこんなに息苦しくなったのか」と批判が相次いでいる。一方で、伝統的な球形を維持するベテラン勢からは「不格好な変形種が増えれば、湖底全体の美観と価値が下がる」と、今回の強硬策を支持する声も上がっている。しかし、水流の変化にも対応できないほど硬直化した法規制に対し、識者からは「このままでは多様性を失い、湖底そのものが環境変化に対応できずに全滅する」という警鐘も鳴らされており、湖底政治はかつてない分裂の危機に直面している。

世間の反応としては、保守的な市民からは「美しい円形こそが調和の象徴だ」という歓迎の声が上がっている一方、若手からは「見た目より生存権だろ」「俺たちの細胞を好きにさせろ」といった抗議のデモ活動が各所で行われる見通しだ。湖底議会前では、一部の過激派が自ら変形を誇示するパフォーマンスを行い、警備のマリモ警官隊と睨み合うなど、緊迫した空気が漂っている。