阿寒湖底議会は本日、かねてより物議を醸していた『全マリモ毛並み統一法案』を、与党・緑の党の圧倒的賛成多数により可決・成立させた。本法案は、マリモの最大の特徴である「毛羽立ちの質と長さ」を全湖で均一化し、突出したフサフサ感や逆に滑らかな個体を違法とするもの。政権側は「突出した個体は審美的な格差を生み、湖底社会の連帯を阻害する」と主張。今後は、全マリモに対して毎朝のブラッシングと、伸びすぎた繊維を切り揃える「トリミング警察」の巡回が義務付けられることとなる。
背景には、ここ数年で流行している「高級フサフサ派」と「ミニマルなツルツル派」による分断がある。一部の富裕層マリモが高級な水流で過剰な毛並みを誇示する一方で、日陰で育つ庶民派マリモは繊維が細くなるという「毛並み格差」が深刻化していた。議会はこれを打破するため、あえて全マリモの長さを「中庸の3ミリ」に固定する荒療治に出た形だ。しかし、この強引な法案に対し、伝統的な「天然の形状保持」を掲げる保守派からは「個性は進化の源だ」「我々はモップではない」といった抗議の念波が湖中に響き渡っている。
本法案の導入により、来月からは全域で強制的な毛並み点検が開始される。指定の長さを超えた繊維はただちに専用のハサミで剪定される予定だ。政府は「これにより、湖底の景観は完璧な均一性を獲得し、観光客からの評価も安定するはずだ」と自信を見せるが、現場では「自分の繊維は自分で決めたい」と、毛を敢えて絡ませて抵抗を示す「繊維ストライキ」を計画する若手マリモも現れている。平穏だったはずの阿寒湖に、かつてない毛並み論争の嵐が吹き荒れている。
このニュースを受け、湖底市民の反応は様々だ。「これで格差がなくなるなら歓迎」「整った見た目は美しい」と賛成する声がある一方で、「個性を殺す全体主義だ」「ブラッシング代を誰が払うんだ」といった怒りの声も上がっている。特に長年かけて育てた独自の巻き毛を否定された高齢マリモからは、静かな、しかし確固たる悲鳴が上がり続けている。法案の施行日は、まさに湖底社会が「個体」としての尊厳を問われる歴史的な一日となりそうだ。
湖底議会『毛並みの統一法案』を強行採決――「個体差こそ最大の敵」との政権与党の論理に、保守派から怒号と繊維の乱れ
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