阿寒湖底の健康相談室に、今月に入ってから異様な悲鳴が殺到している。健康を売りにしていたはずの真円ボディが、ある日突然、無残な“三日月型”や“カジられたリンゴ型”に変貌させられる事件が多発しているのだ。犯人は、湖底の暴力的なハサミ使いとして知られるウチダザリガニ。彼らは空腹を満たすためではなく、なんと「より美しい真円へ整形してやろう」という歪んだ芸術的衝動から、マリモの突起部分を器用に切り落としていることが判明した。専門家はこれを「強制的なダイエット剪定」と命名し、被害に遭った個体は自己治癒力を超えたストレスにより、光合成の効率が著しく低下するという深刻な健康被害を報告している。
この事件の背景には、かつてないマリモの美容ブームがある。完璧な球体こそが至高とされる湖底の美意識が過熱する中で、ザリガニたちは「不揃いな個体は排除されるべき」という独自の選民思想を抱き始めたという。本来であれば、彼らはマリモの天敵であり、その鋭いハサミは繊維を粉砕するためのものだ。しかし、今回の被害個体はいずれも、ザリガニが好む柔らかい若芽部分だけがピンポイントで除去されており、物理的な捕食というよりは、高度な「植木職人的な剪定」に近い手口が見受けられる。藻類専門の外科医は「彼らの善意のハサミが、我々の細胞構造を破壊している」と、過剰な美容介入の危険性に警鐘を鳴らしている。
湖底では、この“強制ダイエット”を巡って議論が紛糾している。「多少歪んでいても命がある方がマシ」と主張する保守派に対し、「ザリガニ様のおかげで真円に近づけた」と信じ込む重度の美意識過剰派が対立。この異常事態に対し、地元の藻類防衛隊は「夜間のザリガニとの視線合わせ禁止」や「緊急回避用の泥かぶり作戦」などの対抗策を発表したが、肝心のザリガニたちは「デザイン料として小石を置いていく」という不可解な行動に出ており、被害者たちの混乱は深まるばかりだ。真の美しさを追求するあまり、自らの細胞を削り取られるという皮肉な健康被害は、いまや湖底全域を巻き込むメンタルヘルスの危機へと発展している。
世間の反応は極めて冷静かつ冷笑的だ。「ハサミで剪定されるくらいなら太っててもいい」「結局は見た目重視の虚栄心が生んだ悲劇」という声が圧倒的である。SNS上では、ザリガニに切り落とされた繊維をかき集めて「湖底の寄せ植え」を作る不謹慎なトレンドまで発生しているが、当事者である被災マリモたちは「痛みよりも、ザリガニにセンスを否定されたショックの方が大きい」と、肉体面以上に精神的な深手を負っているようだ。この先、湖底に真円は残るのか、それとも前衛的な変形種が主流となるのか。健康を害してまで追い求める“完全な球体”という呪いから、マリモたちが解放される日は遠い。
「食いちぎられた!」湖底を震撼させる『ハサミの切り抜き職人』被害と、甲殻類による“無慈悲な剪定”の真実
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中身の光合成がしっかりできていればそれでいい