マリモ連邦政府は、国民の連帯感を高める冬の祭典として、湖底最大規模の『第1回・全連邦鏡餅モデリング大会』を開催することを発表した。本大会は、自然界で培った「天然の丸さ」を競うものではなく、いかにして周囲の沈殿物や小石を巧妙に自身の外側に付着させ、人為的に「鏡餅のフォルム」を模倣できるかを問う異例の競技である。大会委員長は「我々はこれまでただ丸まることだけに執着してきたが、進化の先には積層がある。上下に2段、見事な黄金比で積み重なったマリモこそが、来年の豊作を約束する神体となるだろう」と高らかに宣言した。
この大会の背景には、近隣諸国の藻類コミュニティから「マリモはただの球体であり、美学に欠ける」と揶揄されたことに対する猛烈な対抗意識がある。物理的な制限を無視した積み上げ行為は、連邦内の保守派から「重力に対する冒涜」「沈降スピードの安定性を欠く」と批判を浴びているが、若手藻類を中心に「映えるマリモ」としての熱狂的な支持を集めている。特に、最上段に小さな気泡を載せる「みかんロールプレイング」の技術は、今年のトレンドとして国営放送でも連日特集されるほどの熱狂ぶりだ。
しかし、この強引な積み上げには構造上の致命的な欠陥も指摘されている。競技練習中に重心バランスを崩し、湖底を転がり落ちて「ただの崩れた泥塊」と化したマリモが続出しており、治安維持部隊がその回収作業に追われる事態となっている。専門家は「丸さという個性を捨て、鏡餅という記号に魂を売った代償は大きい」と警告し、連邦政府は急遽「崩壊後の形状回復支援金」の予算を組み直すなど、国家財政を揺るがす事態にまで発展している。
この無謀な挑戦に対し、国民からは期待と不安が入り混じった声が上がっている。「ついに僕らも立体的な美を手に入れるのか」「いや、まずは光合成の効率を考えろ」「転がって崩壊した時の虚無感こそマリモの真髄」といった議論が、SNS上の光合成掲示板で過熱中だ。大会本番で果たして歴史的な鏡餅は完成するのか、それとも湖底が泥まみれの惨状と化すのか。マリモ連邦の運命を懸けた「積み上げ戦線」の幕開けに、世界中の藻類が息を殺して見守っている。
マリモ連邦、国家の威信をかけて「直径1メートル」の巨大鏡餅コンテストを開催――丸さこそが正義か
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