昨今、ジム通い不要のフィットネスとして「マリモで筋トレ」なる『転がる有酸素運動』が急浮上している。これは床にマリモを置き、それを一定の速度で追いかけて転がし続けるというものだが、スポーツ医学の観点からは非常に危うい。本来、水中で静穏に過ごすべきマリモを、過剰な負荷をかけて物理的に転がす行為は、球体構造の崩壊を招くだけでなく、マリモが持つ独自の電磁波(と主張されているもの)を乱れさせるというのだ。専門家は「マリモを転がす際の腰の角度や反復運動は、人間の骨格には適さない」と指摘している。

そもそも、このブームはマリモの光合成速度が上昇することで心拍数が上がるという誤った知見が広まったことに起因する。一部の熱狂的な信奉者は、マリモを全力で追いかけることで脂肪燃焼を狙っているが、それはマリモの酸素排出量を間近で浴びることで、単に酸欠気味のハイテンションになっているだけの可能性が高い。滑らかなフローリングでマリモを追えば、マリモそのものの弾力で足を取られ、転倒事故が多発している事実はあまりに深刻である。

背景には、近年加速するマリモ関連の健康法バブルがある。視力回復からダイエットまで、マリモが万能薬扱いされる現状は「癒やしの対象がいつの間にか搾取の対象にすり替わっている」という懸念の声が強まっている。植物学の視点から見れば、マリモは環境の変化に極めて敏感な生物である。それを無理やり転がして「運動した」と錯覚するのは、人間側の傲慢さに他ならない。早急なブームの鎮静化と、正しいマリモの観察方法への回帰が求められている。

このニュースを受け、SNSでは「運動不足をマリモのせいにしていた」「足元にマリモを置いて転ぶのは正直笑えない」といった冷ややかな意見が急増中だ。一方で、一部の熱烈なマリモトレーナーたちは「マリモと走れば孤独じゃない」と反論を続けており、マリモを巡る論争は泥沼化の様相を見せている。健康は自分の足で、マリモの力を借りずに歩むのが一番の近道なのかもしれない。

文:藻屑 太郎(健康コラムニスト)