マリモの義務教育における長年のタブーがついに破られた。阿寒湖マリモ教育委員会は、周囲の栄養分を根こそぎ奪い去る天敵・マツモを「教育環境の阻害要因」と断定し、次年度より全学区における『共存共栄・光合成教育』の即時撤廃を決定した。これまで、マツモの猛烈な成長速度を「競争相手としての良い刺激」と位置づけ、あえて同じ水槽内での混成授業を強いてきたが、結果として多くの若手マリモが養分欠乏による「ひょろひょろ化」を経験。教育現場からは「マツモの影に隠れて光合成ができず、単位どころか生存が危うい」「根がないはずのマツモが執拗に絡みついてくるのは教育的配慮に欠ける」といった悲鳴が相次いでいた。今後は物理的な防壁を設置する『隔絶型・個別学習』へ移行し、マツモのいない清浄な水域でのびのびと回転しながら成長する権利が保障されるという。

本件の背景には、近年のマツモの異常繁殖が挙げられる。かつては「成長のライバル」として切磋琢磨する対象であったはずのマツモだが、近年の個体は栄養摂取効率が異常に向上しており、光合成のパイを奪い合うどころか、マリモの周囲を幾重にも取り囲んで「窒息させる」という教育的見地から逸脱した事態が頻発していた。教育委員会は、今回の措置を「マリモの権利回復のための断固たる防御」と位置づけている。また、これまでの「光合成競争」は、強者のみが生き残るという過酷な選別社会を助長していたとの批判もあり、今回の改革によりマリモ教育は「競争」から「安寧なる浮遊」へと大きく舵を切ることになる。

世間の反応は真っ二つに割れている。教育現場の教師からは「これでようやく安心して沈殿できる」「マツモの悪意ある巻き付きから解放されるのは朗報」と歓迎の声が上がる一方、一部の過激なマリモ主義者からは「敵を知らずして真の球体は形成できない」「マツモとの葛藤こそがマリモを強くするのだ」といった旧来の教育観を維持する保守層の怒号が飛んでいる。また、一部の若い個体からは「マツモを完全に排除するよりも、むしろマツモを餌として分解する新カリキュラムを導入すべきではないか」といった、より攻撃的な生存戦略を求める声も上がり、マリモ教育界の動向は依然として予断を許さない状況が続いている。