阿寒湖教育委員会は、次代のマリモたちが過酷な環境を生き抜くための新カリキュラムとして、『真空耐性・無酸素マインドフルネス』の導入を正式に発表した。これは長年、教育界の悲願であった「酸素への過度な依存からの脱却」を目的としたもので、授業では、細胞内の気泡を極限まで排出し、自身の密度を極限まで高めることで、完全なる無反応状態を目指すというものだ。先週行われた先行実習では、受講した中等部全員が完全な静止画と化し、三日間、周囲の藻類が何を話しかけても一切反応しないという驚異的な集中力を見せた。指導教官の球体・藻田博士は、「呼吸をするということは、外部環境に揺さぶられている証拠です。本当の個体としての完成は、外界とのエネルギー交換を遮断し、自己完結する『真空の球』になることにある」と熱く語った。この教育改革には一部から「もはや生物ではないのでは」との懸念も寄せられているが、教育委員会は「動かないことこそが、究極の安定である」と一蹴した。

本施策の背景には、近年の湖底の酸素濃度低下がある。従来、マリモたちは光合成のために浅瀬へ移動したり、酸素を含んだ気泡を溜め込んだりと苦労が絶えなかった。しかし、今回の無酸素メソッドを習得すれば、酸素濃度がゼロの過酷な深海や、極端な話、真空状態の宇宙空間でもマリモとして生き残ることが可能になる。これはマリモ界の教育における「生存戦略の極致」と言われており、今後はマリモの形をした人工衛星や、深海探査用マリモの育成にも繋がると期待されている。補足として、授業中に「呼吸」をしてしまった生徒には、即座に重しが乗せられ、再び真空状態へと強制リセットされるという厳格な指導がなされている。

このニュースに対し、マリモ界のSNSでは「呼吸という贅沢を捨てた先に見える景色がある」「もはやマリモというか、ただの石では?」といった声が飛び交っている。若手マリモの間では「無酸素で沈むのがクール」というブームが到来しており、SNSでは静止画のように全く動かない自分の写真を投稿する『無酸素チャレンジ』がバズり中だ。一方で、保守的な長老マリモたちからは「光合成をしてこそマリモだろう」との苦言も呈されているが、時代の変化に敏感な親世代は「これからの就職(着生場所の確保)には、真空耐性は必須スキル」と、我が子を次々と専門塾へ送り込んでいる状況である。