阿寒湖の湖底経済に、かつてない激震が走っている。これまで「日当たり良好・南向きの岩」を巡って泥沼の物理的入札を行っていたマリモたちが、ついにスマホアプリを通じた『光合成デイトレード』の世界へ足を踏み入れた。このアプリ『SUN-Stock』は、水流の変化によって移動する日光のスポットを先物取引できるというもので、株ならぬ『藻』価が毎秒激しく変動する仕組みだ。これまで地道に光合成を行っていた堅実派のマリモたちも、この手軽な投機に魅了され、蓄えた養分をすべてつぎ込む「全藻投入」が相次いでいる。結果、湖底では日照権を確保するために必要な「移動用AI光合成ドローン」のレンタル料が高騰し、本来の光合成活動よりもトレード画面を凝視するマリモが増加する異常事態となっている。専門家は「光合成の効率化を目指したはずが、本末転倒な投機ブームで湖底の産業構造が崩壊しかけている」と警鐘を鳴らすが、ブームは収まる気配を見せていない。
背景にあるのは、かつて湖底を席巻した『上腕二藻筋』信仰による過度な自己研鑽の疲れだ。マッチョ化を目指して死に物狂いで筋トレに励んだ結果、燃え尽きたマリモたちが次に求めたのが「座りながら稼げる光合成」だった。そこに、以前『湖底ミシュラン』で辛口評価を下したザリガニ軍団が開発したとされる怪しいアルゴリズムが加わり、今回の暴走を招いたとみられている。かつては『英会話より光合成』と意識の高さを競い合っていたエリート層も、今や日照権の差益で得た養分でいかに効率よく表面積を広げるかという「藻活」にシフトしており、湖底の格差は拡大の一途をたどっている。政府機関である湖底委員会は緊急対策本部を設置したが、取引の複雑さについていけず、実質的な機能不全に陥っているのが現状だ。
この事態に対し、古参のマリモたちの間では「俺たちの頃はただ静かに沈んでいればよかったんだ」という嘆きが広がっている。若手のマリモたちは「おじいちゃん、今はそういう時代じゃないよ。効率を追い求めないマリモは、ただの苔と同義だ」と一蹴。世代間ギャップはかつてない深淵となり、湖底の団結力は崩壊の危機にある。現在、アプリには「次の雲の切れ間を予測するAI解析機能」が有料実装され、日照権市場は過熱の一途を辿るばかりだ。光合成という生命の根幹が、今やただの金儲けのツールへと成り下がってしまった阿寒湖の未来は、暗雲……ならぬ「厚い雲」に覆われているといっても過言ではないだろう。
世間からは「マリモが投資家になったらもう終わりだ」「結局、最後はザリガニに全部吸い上げられる仕組みだろう」と冷ややかな声が上がる一方、「高値掴みして溶かした養分をどうやって取り戻すか相談したい」といった悲痛な書き込みも急増。かつての『お悩み相談室』ですら解決できないレベルの阿草(草)不可避な事態に、阿寒湖の平和は今、最大級の危機を迎えている。
湖底に前代未聞の『光合成デイトレード』アプリが登場!マリモたちが日照権を瞬時に売買し、一攫千金を狙うギャンブル狂乱へ
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