阿寒湖底に激震が走っている。長年、光合成と静かな回転を尊んできたマリモ界において、若手個体を中心に「推し活」ムーブメントが爆発的流行を見せているのだ。事の発端は、先週行われた湖底歌謡祭で、ある若手マリモが自身の表面に蛍光色の藻類を緻密に植え付け、暗闇で発光する「ペンライト形態」へと変身を遂げたことにある。このあまりの眩しさに感銘を受けた個体たちが次々と追随し、現在は湖底全体がネオン街のような様相を呈しているという。当のマリモたちは「光合成よりも、推しの色に染まる方がエネルギー効率が良い」と主張しており、保守派の長老たちからは「お前たちはただの緑の球体だったはずだ」と困惑の声が上がっている。

本来、マリモにとって光合成とは生きるための絶対的な義務であったが、ペンライト化した個体たちは「光合成なんて古い。今は自分自身が光を放つ時代」と断言。一部では、光る藻類を求めて湖の深淵部で闇市まで開かれているとの噂もある。この事態を受け、生態系研究者からは「光りすぎた結果、夜行性の魚が誤って衝突する交通事故が急増している」との警告が出された。観光客向けに「湖底アイドルのライブイベント」を画策する過激派も現れており、もはや元の静かな湖底の姿を取り戻すのは不可能に近いと言えるだろう。

背景には、湖底に不法投棄されたLEDライトの残骸を吸収した個体が「光を放つ快感」に目覚めたことが挙げられる。これまで単なる「植物の集合体」として認識されてきたマリモが、自らの意思で「演出」という高次元の概念に到達したことは、生物学上のパラダイムシフトとも言える。しかし、光りすぎて自ら夜空の星と勘違いし、湖面から浮上しようとして窒息する個体も後を絶たず、安全管理の問題が急務となっている。

この件について、SNS上では「推し色に光るなら俺も応援する」「光合成派 vs 発光派の対立が激化しすぎw」「もはや盆踊り会場」といった驚きの声が続出している。一部の個体は推しの名前を細胞分裂で刻むという高度な技術を披露しており、マリモ界のクリエイティビティは留まることを知らないようだ。今夜も阿寒湖の底では、鮮やかな光を放つマリモたちが、誰かのためにひたすら回転しながら輝き続けている。