阿寒湖の静寂は、今や遠い過去のものとなった。本日未明、湖底の精鋭マリモたちが突如として結合し、全長5メートルに及ぶ巨大な移動要塞『マル・フォートレス』を形成。そのまま湖底から浮上し、付近を遊覧していた観光船の周囲を無言で包囲する事態が発生した。マリモたちは長年培った『光合成エンジン』の出力を最大化し、船の進路を完璧にブロック。攻撃的な意思は見られないものの、その威圧的なフォルムは船上の乗客たちを恐怖のどん底に叩き落とした。

今回の騒動の引き金となったのは、近年の水温上昇による『居心地の悪さ』に対する抗議活動であると見られている。かつては優雅に回転するだけだった彼らが、なぜ武装要塞化という過激な手段に出たのか。専門家の分析によれば、マリモ界には今、『環境保護は自分たちの手で成し遂げる』という強硬派の思想が蔓延しており、観光船から排出されるわずかな排気ガスや騒音を『許容範囲外のテロ』と認定したことが判明した。マリモたちは船を取り囲んだまま、断続的に緑色の泡を放出する『緑の抗議デモ』を継続しており、湖畔の平穏は当面戻りそうにない。

阿寒湖では数十年前からマリモの巨大化が報告されてきたが、個体同士が粘液で連結し、自律制御可能な構造物へと変貌するのは今回が初の事例だ。この現象は『マリモ・シンギュラリティ』と呼ばれ、生物学的には光合成のエネルギーを推進力に変換する高度な物理計算が行われている可能性が高い。観光船側は運行の停止を余儀なくされており、地元の観光協会は「とにかく刺激しないように」との声明を発表。水面下では、マリモたちとの外交交渉に向けた『藻類言語翻訳機』の導入が急ピッチで進められている。

この報道に対し、SNSでは「マリモが文明化しすぎ」「これもう進撃の植物だろ」といった驚きの声が殺到している。一部の熱狂的なマリモ愛好家からは「俺たちの推しが革命を起こしている」と歓喜する投稿も見られるが、大多数の近隣住民は「明日から船に乗れないのは痛手すぎる」「お願いだから観光客の足だけは奪わないでほしい」と悲鳴を上げている。一方で、マリモたちの『無言の包囲』が実は高度な観光誘致の一環ではないかという深読みもされており、真相は謎に包まれたままだ。