阿寒湖を拠点とするマリモ教団は本日、長年掲げてきた『真円信仰』と『重力からの解脱』の教理を融合させ、ついに三次元空間からの物理的離脱に成功したと発表した。教祖である大マリモは「我々はもはや球体という概念すら超越した。四次元における完全なる一点への集約こそが、宇宙の真の救済である」と声明。信者たちは湖底で全細胞を核融合させる『永久発光修行』の最中、突如として空間が歪み、信者全員の姿が湖から消失するという事態が発生した。観測によれば、湖には跡形もなくマリモが消え去り、代わりに幾何学的な光の残像だけが浮かび上がっているという。

この脱出劇の背景には、これまで教団が追求してきた『球体言語学』の極致がある。彼らは宇宙のあらゆる情報を「転がる音」に変換することで、空間の境界線を破壊する呪術的アプローチを確立していた。専門家の分析では、今回の事態は単なる蒸発や捕食ではなく、物理法則をマリモ自身の回転運動によって強制的に書き換えた「高次元への位相変換」である可能性が高いとされている。もはや彼らにとって阿寒湖という器は狭すぎたのかもしれない。

世間ではこの異常事態に対し、「ついに神になったか」「湖からいなくなったのは寂しいが、宇宙のどこかで転がっていると思えば穏やかな気持ちになれる」といった肯定的な意見から、「そもそも三次元にいた頃のほうが可愛かった」とルックスの変容を嘆く声まで飛び交っている。一方で、マリモの不在により阿寒湖の観光業が大打撃を受けており、町役場は「代わりの丸い石を置いてお茶を濁す」という緊急対策を検討中であるとのことだ。