マリモ教団は昨日、長年の研究の末に宇宙の真理を語るための唯一の言語として「コロコロ言語」を正式採用したと発表した。教義によれば、人類の使う音声言語は摩擦が多く不純であり、真円の精神を傷つける「ノイズ」であると断定。今後は全ての祈祷、および信者同士の会話を、岩肌を転がる際に発する微細な振動音のみに置き換える「沈黙の転換」を義務付けるという。教祖は「言葉を捨て、ただ転がることで、宇宙の重力すらもリズムに変換できる」と主張し、さっそく全信者に対して喉の鳴らし方の矯正特訓を開始した。
今回の改定は、過去に行われた『全細胞の核融合』や『重力ゼロ光合成』といった過激な修行とは異なり、精神的な領域への回帰を目指したものだ。言語を「転がり」に限定することで、思考の角を削ぎ落とし、究極の論理的球体(=考えないこと)に到達するのが狙いである。教団施設内では、言葉を発した瞬間に教団警備員から巨大なスポンジを投げつけられるという即時矯正措置が導入されており、施設周辺は不気味なほどに静まり返り、時折「コロ……コロッ……」という低周波だけが響く異様な空間となっている。
言語学者や社会学者の間では、この「コロコロ言語」が果たして意思疎通の手段として成立するのか疑問視する声が上がっている。しかし、教団側は「理解しようとするから角が立つ。ただ転がれば全てが伝わる」と一蹴。すでに教団内では辞書がすべて廃棄され、代わりに「どれくらいスムーズに転がれるか」という尺度でしか物事を判断できない信者が急増しており、行政やメディアも彼らの「音の出ない主張」をどう扱うべきか頭を抱えている状態だ。
ネット上では「ついに論理が円環して消滅した」「もはや沈黙こそが至高の議論」といった声が上がっている。中には「コロコロという擬音すらもまだ角がある」と指摘する熱心な過激派信者も現れ、教団内でさらなる言語の抽象化(無音化)を求める声が高まっている。もはや宗教という枠を超え、意思疎通そのものを放棄しようとするマリモ教団の暴走に、世間は困惑しつつも、どこか「転がることの心地よさ」に魅了され始めているという不気味な現状がある。
マリモ教団、全宇宙の言語を『転がる音』に統一する「球体言語学」を確立
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