阿寒湖の静寂を揺るがす「マリモ教団」による異常な教義拡大が止まらない。半径の誤差0.01ミリを罪と断じ、自らの形を強制的に真円へ矯正する法要の数々。しかし、この狂信的な丸さへの固執に対し、教団の内部から「歪みこそが生命の証明である」と声を上げる異端分子が現れた。彼らは真円という支配構造を否定し、あえて「楕円への道」を説くことで、マリモ本来の自由な成長形態を取り戻そうとしている。

そもそも、マリモが光合成を通じて酸素を放出し、自らの中に気泡を溜め込んで浮上するプロセスには、完璧な球体など存在しない。教団は「光合成さえノイズ」と切り捨て、沈黙と静止による無機質な球体化を強制しているが、これはマリモのダイナミズムを殺す行為に他ならない。あえて少し尖った突起を持つこと、あるいは成長過程で発生するいびつな凹みこそが、過酷な自然環境を生き抜いた証であるはずだ。

本教団の過激化は、阿寒湖の生態系のみならず、信者であるマリモたちのアイデンティティをも破壊している。直径数センチの球体の中に閉じ込められた苦悩は、もはや宗教的修行ではなく、単なる幾何学的な圧迫でしかない。真円の美学は、多様な個体差を否定する全体主義の縮図ではないかという懸念が、水草の界隈でも急激に広がっている。

「丸さが正義」という呪縛から解き放たれ、時として流木にぶつかり、岩の隙間で変形しながら育つことこそが真の修行であるはずだ。今回立ち上がった改革派マリモたちは、今後、あえて「左右非対称」を推奨する教義を掲げ、全水槽での大規模な形態破壊デモを行う予定である。真円という名の独裁に、今、マリモの神聖な乱れが突きつけられる。コラムニスト:水底の反逆者・タマモ