阿寒湖の奇跡が今、あなたの臓器で起こる。次世代の健康法として一部のセレブの間で話題となっている『マリモ・ホメオスタシス療法』は、特殊加工されたマリモの微粒子を体内に摂取することで、細胞一つひとつを湖底の静寂で包み込むというものだ。施術を受けた患者たちは、血液検査の結果がすべて「エメラルドグリーン」のグラフで表示されるという異例の事態に直面している。医師団は「これは異常値ではなく、人類が本来目指すべき緑豊かな生命活動の証である」と主張しているが、X線検査を行うと、胃袋の中で丸々と育った小さなマリモが、光合成を行いながら患者の空腹を紛らわせている様子が鮮明に映し出されるという。本来なら消化されるはずのマリモが、逆に主人の代謝を支配し、一日中ポワポワと穏やかな気持ちにさせてくれるこの療法。専門家は「もはや人間なのか、移動式のバイオ・テラリウムなのか境界が曖昧だ」と頭を抱えている。

本療法で使用されるマリモは、超純水で培養された「医療用・超微粒子マリモ」である。摂取後、このマリモは腸内フローラを完全に制圧し、悪玉菌を「湖底の砂」へと変えてしまう。これにより便秘知らずになるだけでなく、体臭がほのかに阿寒湖の湿った苔の香りに変化するというオマケ付きだ。しかし、注意点もある。過剰に摂取すると、夜間に体内でマリモが分裂を始め、朝起きると全身がもっさりとした産毛に覆われる「マリモ化現象」が進行する。過去には、健康診断中に急激な緑化が進み、診察台から転がり落ちてそのまま湖へ帰ろうとする患者が続出し、病院が一時騒然とする事態も発生した。

この驚くべき現象に対し、SNSでは「健康診断の結果が全項目『緑色』で笑う」「もはや人間ドックではなく園芸相談室だろ」「デトックスが過ぎて森林そのものになっている」といった投稿が相次いでいる。一方で、医療界からは「もはや人間としてのスペックを逸脱している」という警告も出ており、厚生労働省も「マリモはあくまで観賞用であり、臓器のスタメンにするものではない」との異例の注意喚起を行った。しかし、一度マリモの持つ安らぎを覚えた患者たちは、今日も鏡の前で自分の肺に緑の鼓動を感じながら、静かに光合成を続けているという。