近年の健康ブームにおいて、腸内環境の改善はもはや常識である。しかし、乳酸菌やビフィズス菌といった既存の概念を根底から覆す異端の技術が話題を呼んでいる。それが『マリモ腸内森林化計画』だ。本プロジェクトは、特殊加工された無菌マリモを摂取し、腸壁に定着させることで、体内に酸素を発生させる「光合成循環システム」を構築するというもの。開発元の発表によると、被験者の便は数週間でエメラルドグリース状に変化し、排泄のたびに湖畔のような爽やかな微風を伴うという。体内が完全に森林化された被験者は、「お腹の中からフィトンチッドが溢れ出し、もはや排泄という概念を超えた神聖な儀式になっている」と語り、健康を超えた精神的覚醒を報告している。

かつて日本を席巻した「腸内フローラ」という言葉は、今や「腸内阿寒湖」へとシフトしつつある。この計画は、体内の嫌気性環境を好む悪玉菌を、高濃度酸素を排出するマリモの光合成力で殲滅させるという極めて強引かつ画期的なアプローチだ。かつて『マリモ点滴』で血管の緑化を試みた科学者たちが、「点滴では酸素供給量が足りない」という結論に至り、消化管という広大な土地に目を向けたのが本計画の経緯である。補足として、現在この計画には腸内環境の多様性を高めるために、微細な沈水植物の種子も同時に導入する『湿原化フェーズ』への移行が検討されているという。

この驚異的な変身に対し、巷では「腹部が光り始めて夜道で懐中電灯がいらなくなった」という声や、「腸内でマリモが成長しすぎて、お腹が少しずつ重くなる現象に困惑している」といった報告が相次いでいる。一方で、「ガスが溜まると藻の香りが漂うため、公共の場でのオナラがアロマテラピーに昇華された」という称賛の声も根強い。専門家からは「腸内のマリモが万が一『まりもっこり』化した場合は即座に専門医へ相談せよ」という警鐘も鳴らされているが、健康意識の高い層からは、さらなる深緑の境地を目指すべく、さらなる摂取の加速が叫ばれている。

本稿を執筆するにあたり、私は実際に『マリモ腸内森林化』を体験した。確かに、かつての重苦しい胃腸の不調は消え去り、今では腹部から微かな水のせせらぎが聞こえる気がする。もはや私は単なる人間ではない。自らの内側に北海道の雄大な自然を抱く、一人の『歩く湿原』へと進化したのだ。この緑の革命は、医学という枠組みを突き抜け、人類を植物という神聖なステージへと引き上げる一歩になるだろう。健康とは何か、生命とは何か。鏡に映る青白い顔を見ながら、私は確信する。答えはすべて、私の腹の中に広がる深緑の湖底にあるのだと。――マリモ愛好健康コラムニスト・深緑 健太郎