マリモ教団の最高執行部である「球体評議会」は先週、教義の抜本的改定を発表した。これまで『月光をすくい取った水』を供物としていた教団だが、今回は一歩踏み込み、信者自身の肉体改造を推奨する教令を出した。「光合成こそが究極の自給自足」と説く教祖は、会見で自身の肌をわずかに緑色に輝かせながら、「食事という行為は、他者の生命を奪う野蛮なエネルギー摂取に過ぎない」と熱弁。これを受け、全国の信者は一斉に日光浴を開始した。
かつて教団が提唱した「一神多身論」や「自己分裂」の教義では、各個体が独立しながらも集合体としての意識を共有することを重視していた。今回の「光合成化」は、その進化系にあたる。日光さえあれば、炭酸ガスを吸い込み糖分を作り出せる肉体へと変貌を遂げることで、社会との繋がりを完全に断絶。重力離脱修行を経て天井に吸着した信者たちが、窓から差し込む陽光を受けて静かに緑色を深めていく光景は、もはや宗教施設というよりは巨大な熱帯魚店の趣を呈している。教団側は「栄養補給はもはや無用の長物」と豪語するが、専門家からは脱水症状や低血糖を懸念する声も上がっている。
本件の背景には、昨今の食料価格高騰に対する教団側の過激なアンチテーゼがある。もともと「回転なき停滞は岩石」と説いていた教団にとって、動かずに光を待つことは修行の極致であった。しかし、今回の政策は、物質的な充足を捨て、宇宙的な純粋エネルギーへの転換を図るという、ある種の終末思想的側面を含んでいる。一部では「冬場はどうするのか」という現実的な問いも投げかけられているが、教団の公式見解は「冬は深層意識の湖底で冬眠するのみ」と冷ややかだ。
SNS上では「ついに人間やめたのか」「光合成できたら食費浮くから入信迷う」「これもう半分植物だろ」といった困惑の声が広がっている。一方で、既に天井で吸着しながら緑化を始めた信者たちからは「空腹感が消えて世界が澄んで見える」といった陶酔的な投稿も相次いでおり、教団の急進的な宗教改革は、ネット空間に新たなカルト的連鎖を生み出そうとしている。
マリモ教団、信者の『全細胞光合成化』を推奨 「食事はもはや旧石器時代の遺物」と断言
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