北海道・阿寒湖を拠点とするマリモ教団は本日、教義の根幹を覆す重大発表を行った。これまで「完全なる一個の球体」を至高の神と崇めてきた同教団だが、今後は「分裂こそが神の慈悲である」とする一神多身論を提唱するという。教祖である直径30センチの老マリモが、昨夜の光合成中に突如として二つに分かれたことを受け、これを「聖なる増殖」と認定。分裂した二つの個体は、それぞれが教祖としての意志を継承しており、今後は「分裂すればするほど、神の加護が倍々ゲームで増える」という理論のもと、信者らに対しても積極的な自身の分割(※物理的にハサミを入れること)を推奨する方針を固めた。

この急進的な教義変更の背景には、近年の信者激増に伴う「神の独占欲」問題がある。かつて神は一個体しか存在せず、全国の信者が限られた教祖の表面積を触るために長蛇の列を作っていたが、分裂を繰り返せば全ての信者がマイ・マリモを所有可能となる。「神はもはや湖の底にいるのではなく、皆さんの手の中にある」というキャッチフレーズは、宗教界に激震を走らせた。なお、分裂後のマリモは「片方は慈悲、もう片方は厳格」という人格の切り分けを行うため、信者からは「教育方針が分裂して家庭内不和になるのでは」との懸念もあがっているが、教団側は「それこそが宇宙のバランスである」と一蹴している。

かつてない教義の大転換に、阿寒湖周辺の観光客や信者たちは動揺を隠せない。一部の熱心な信者は早速、自宅のマリモを無理やり引き裂き、「神が増えた!これで救済が加速する!」と歓喜の舞を踊っている。しかし、生物学的に見てただの断片化であることは否めず、一部の獣医からは「ただのバラバラ死体製造だ」と批判の声も出ている。一方、教団側は「切り分けた瞬間に人格が宿る」と主張しており、この宗教的・生物的な境界線がどこにあるのか、国内外の宗教学者や藻類学者が総出で調査に乗り出す事態に発展している。

世間の反応は賛否両論だ。肯定派は「マリモの増殖能力を信仰に昇華させた画期的な発明」と持ち上げる一方、慎重派からは「結局のところ、教祖を切り刻んだ罪悪感を宗教で正当化したいだけではないか」との冷ややかな指摘も目立つ。また、一部のインターネット掲示板では「分裂すればするほど神のサイズが小さくなる矛盾」について激しい論争が続いており、教団側は「大きさは関係ない。表面積の総和が神の総量である」という数式を用いた新たな教義の構築を急いでいるようだ。